2024/11/24
今回の内容は、【 キレキレのアイアンショットを打つためのコツ その2 スイングの問題点を理解して対策する 】の中で少し触れていた話題について説明します。
アマチュア女子校生ゴルファー小倉彩愛選手のスイングの特徴と、そこからアマチュアゴルファーが学びたいポイントを説明します。
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小倉彩愛選手のシンプルなスイングに注目!
少し前の話ですが、日本女子オープンでアマチュアゴルファーの小倉彩愛選手が3位を獲得しました。
まだ17歳の高校2年生です。
なんといっても驚いたのは、そのスイングです。
非常にシンプルで安定度が抜群。
そしてドライバーのフルショットからパッティングまで、全てのスイングを膝を伸ばしたまま行っていたのです。
シンプルで安定したスイングの秘訣は、どうやらその膝の使い方にあるようです。
一般的なゴルフレッスンの内容では、膝と股関節を曲げて前傾姿勢を作るように指導されていて、重い物や人間を背負っても安定するような前傾姿勢がよいとされています。
この前傾姿勢によって安定したスイングができるという理論です。
そのような理論をなんとなく納得していましたが、実際にそのような前傾姿勢を保ったままスイングしようとすると、スムーズに動けるアマチュアゴルファーはなかなかいないものです。
僕がアドバイスしている友人達は、膝を曲げないほうが、前傾角度も少ないほうがスムーズに動ける傾向でした。
プロゴルファーのように毎日の練習とトレーニングを重ねていれば、その前傾姿勢でも身体はスムーズに動けるのでしょうが、普段それほど運動もしないで、練習も週1回程度のアマチュアゴルファーには、理想とされるような前傾姿勢には縛られないほうがよいと感じていました。
そこへ突然現れたのが小倉彩愛選手。
彼女のプレーは日本女子オープンで初めて目にしたのですが、メジャー特有の難しいコースセッティングにも負けずに、連日非常に安定したプレーを続けていました。
誰よりもシンプルなスイングで、そしてゴルフがとても簡単そうに見えたのです。
膝を伸ばすとこんなにもシンプルなスイングが可能になるなら、試してみるしかありませんね。
早速友人達に試してもらったところ、効果は上々。
膝を伸ばしたままのスイングには、大きなメリットが2つありました。
① 下半身の余計な動きを無意識で抑制出来る
アマチュアゴルファーに共通するスイングの大きな問題点として、下半身の動きが大きすぎる点があげられます。
プロゴルファーと同じような下半身の使い方をしようと思っても、ほとんどの人が余計な動きが加わってしまい、その影響で自分のスイングを難しくしているのです。
その余計な動きの代表例は次の4つです。
● ダウンスイングで下半身が先行する動きが大きすぎる。
● 腰が左に流れる動きが大きすぎる。
● 膝の左右の動きが大きすぎる。
● インパクト前後に右膝が曲がり、左膝が伸びる動きが大きすぎる。
これらの大きすぎる動きを意識的に抑制しないと、安定した効率のよいスイングができません。
ところが、膝を伸ばしてスイングをするだけで、これらの大きすぎる動きを必要最小限に抑制することができたのです。
例えばカット軌道のスイングに悩む友人は、今までは下半身の余計な動きを抑制するように意識して、スライスに対処していましたが、ラウンド中に意識が薄れたり、下半身が疲れてくると、余計な動きを抑制できなくなる場面が出ていました。
ところがその友人も膝を伸ばしてスイングをするだけで、カット軌道は全く出なくなり、力強いストレートボールが打てるようになったのです。
疲れが出た時はまだ少し悪いクセが出ますが、その効果は抜群です。
つまりその友人のカット軌道は、上半身のスイングによって作られたものではなく、下半身の余計な動きによって作られていたのです。
今まで散々苦労して対処してきたカット軌道が、ただ膝を伸ばしてスイングするだけで解消できるとは…。
カット軌道にお悩みの人は、是非試してみて下さい。
② アプローショットの精度が飛躍的に向上する
下半身の余計な動きを抑制できることで、全てのスイングがシンプルになるだけでなく、精度も上がります
が、特に劇的に効果が上がったのがアプローチショットです。
【 簡単なアプローチショットの打ち方 コントロールショット編 その1 】や【 アプローチショットのコツ 30ヤード以内のショートアプローチ編 その1 】で説明したようなアプローチショットが、今までよりも面白いように「 シュパッ 」と決まります。
特に「 チャックリ 」や「 ザックリ 」をしそうな芝が薄いライでは、その効果は抜群!
膝を伸ばしたままだと、スイングの上下動が抑えられて、アドレス通りにクラブヘッドが精度よく戻すことができます。
この打ち方、アプローチショットには強くお勧めします。
ただしバンカーショットに関しては、クラブヘッドがクリーンに入りすぎるので、多少の慣れと工夫が必要でしょう。
パッティングに関しても、本来が下半身は全く動かさないほうがよいので、膝をのばしてストロークすることには相性抜群です。
実際にも世界のトップクラスの選手を確認したところ、パッティングで膝を伸ばしてストロークしている選手は予想以上に多くいました。
この①と②のメリットは、スコアアップには非常に効果的ですが、注意して欲しい点も少しあります。
◆ スイング軸が保てないと、スイングパワーが落ちる
やはりスイングパワーの源には、下半身の動きは不可欠です。
余計な動きは抑制できますが、必要な動きも抑えられてしまう可能性があります。
小倉彩愛選手のようにフルショットでも十分なパワーを引き出すには、十分な慣れとコツ、そしてトレーニングも必要になるでしょう。
コツとしては、スイング軸が左に流れないように、その場で「クルッ」と回れるようなイメージを持つこと。
クラブの回転運動の遠心力を利用すると、スイング軸を保てるようになります。
◆ 上半身をうまく使う
必要以上に下半身に頼ったスイングをしていた人は、かなりの違和感を感じてしまい、慣れることに苦労するかもしれません。
それでも慣れることにトライするなら、両足を閉じた素振りから始めることをお勧めします。
両足を閉じて、もちろん膝を伸ばしたままで、バックスイング ⇔ フィニッシュを繰り返すように素振りして下さい。
肩甲骨をうまく使いながら、スイングプレーンも意識して、できる限りの「 マン振り 」をすると、回転軸を保ちながら上半身をうまく使うコツが身につきます。
このように上半身がうまく使えるようになると、膝を伸ばしたスイングにも少しは馴染んでくると思います。
◆ ボールとの距離感を信じる
当然ながら、膝を伸ばしてアドレスすると、従来のスイングよりもボールとの距離が遠くなります。
その距離感に慣れずに、スイング中にボールに近づこうとする動きが出るかもしれません。
しかし、ちゃんとアドレスの時にはボールに届いているはずなので、それを信じてスイングすれば大丈夫。
まとめ
今回は、膝を伸ばしたままスイングするという、少し変わった、しかし劇的にスイングをシンプルにする方法を紹介しました。
試しても馴染めない場合は、「 下半身の余計な動きを抑制する 」ことだけは忘れずに、膝を伸ばしていた状態から少しずつ膝の曲げる角度を増やしていき、自分がしっくりくる膝の使い方を見つけて下さい。
スイング軸を保つことの重要性とコツは、【 ゴルフに左への体重移動は必要ない! クラブの回転パワーで飛ばそう! 】でも説明しています。
そちらも参考にして下さい。