ゴルフのスコアを大きく左右するパッティング。
そのパッティングに関しては、「 結果がよければ何でもOK 」と言えるほど、打ち方に関しては自由でもよいと思うのですが、しかしアマチュアゴルファーにとっては、自由と言われると逆に困ってしまうものですね。
基準となるような正しい理論が示されていたほうが、自分に合うパッティングスタイルを見つけ出しやすいものです。
そこで今回は、自分に適したパッティングスタイルを見つけ出すために参考にして欲しい理論、「 パッティングのインパクトロフト 」について考えてみましょう。
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なぜ日本人選手のパッティングのインパクトはマイナスロフトが多いのか?
【 なぜ日本人選手は世界で活躍できないのでしょうか!? 】で説明したように、日本人選手と世界のトップクラスの選手達とでは、パッティングのインパクトロフトに明らかな違いが見られます。
先日のマスターズでもその差は明らかでした。
バターのロフト角は2° ~ 4°が一般的ですが、小平智選手、宮里優作選手、池田勇太選手の3人は、ボールを打つ時にそのロフト角が0°以下になるくらいのハンドファーストのインパクトの形を作っていました。
対する世界のトップクラスの選手達は、パターのロフト角通りか、もっとロフトが多くなるようなハンドジャスト、またはハンドレイトの形でインパクトしています。
ちなみに松山英樹選手は、マイナスとプラスのちょうど中間くらいになっているように見えます。
しかしたとえインパクトロフトの角度が違っていても、そしてその形がどうであれ、「 入ればOK 」なのは間違いありません。
実際に小平智選手は、オーガスタのグリーンと非常にタッチが合っていて、トップクラスに引けを取らないほどにパットが入っていました。
そしてPGAツアー初優勝を達成したRBCヘリテージでも、大事なパットは確実に決めていて、優勝を決めたバーディパットも見事なものでした。
ところが、マスターズでは宮里優作選手と池田勇太選手はなかなかパットが入らず、そして松山英樹選手も苦戦していましたね。
今回のマスターズに限らず、4大メジャーや世界ゴルフ選手権などで、松山英樹選手以外にも日本人選手が何人か出場していますが、いつも外国人選手と比較するとパットに苦しんでいる印象です。
ストロークに問題があるのか?芝の特性に対応できないのか?それともラインの読み方が悪いのか?
皆さんも疑問がわいてきませんか?
そこでその原因の1つになっていると思われる、パッティングのインパクトロフトについて検証してみましょう。
パッティングのインパクトロフトはプラス派?マイナス派?
皆さんは、パッティングのインパクトロフトを意識したことがありますか?
この件に関しては、テレビや雑誌のゴルフレッスンでは触れられることはないので、意識している人は少ないのではないでしょうか?
そこで今回を機に皆さんも、自分に適したインパクトロフトについて考えてみて下さい。
■ 日本のゴルフ界はなぜマイナスロフトが主流なのか?
日本のゴルフ理論では、パッティングのボールは転がりがよいほうが、カップに入りやすいとされています。
そのために、パターで打った後、ボールは早めに順回転になるほうがよい、という理論が定説になっています。
そして、早くボールを順回転にするために、マイナスロフトのインパクトが主流になっているものと思われます。
はたしてそれは正しい理論なのでしょうか?
そこでまず今回は、日本人選手がマイナスロフトのインパクトになっている理由について、もう少し掘り下げて考えてみましょう。
■ マイナスロフトのほうが本当にボールの転がりがよいのか!?
まずは【 こちら 】の記事をご覧下さい。
この実験によると、マイナスロフトのほうがボールの転がりがよいというデータが出ています。
このデータは、なかなか興味深いものだと思います。
ただしこの実験は、実際のコースのグリーン上ではなく、パター練習用のマットのような物の上で行われているようです。
家庭用のパター練習用のマットや、ゴルフ練習場にあるパター練習場では、皆さんもご存知のように、ボールがマットに食い込むように転がることはありません。
そのような条件下では、どれだけマイナスロフトが大きくても、転がりがよいデータになっていても不思議ではないのです。
■ 日本国内ツアーのグリーンの特殊性
そこで次に、日本人選手がマイナスロフトでインパクトしている理由についても考えてみましょう。
【 こちら 】の実験データが公表される以前から、なぜ日本人選手がマイナスロフトでパッティングしていたのか?
おそらくその理由は、国内男子ツアーのグリーンの状態に影響されているものと思います。
国内男子ツアーで使用するコースは名門コースばかりで、大会時では開催コース同士が競うように、グリーンの状態を完璧に仕上げています。
たとえ2段、3段グリーンであっても、細かな起伏は非常に少なく、芝の状態も完璧。
そしてプロ仕様の速くて硬い状態になっています。
つまり、まさにパターマットのようなグリーンの状態に仕上がっているわけです。
そのようなグリーンの状態では、ボールが芝に食い込むようには転がらならないので、【 こちら 】の実験データに近い結果になることは想像できますね。
そのような環境の中では当然のように、転がりのよさを求めてマイナスロフトのインパクトになっていても不思議ではありません。
したがって、このようなグリーンの状態ばかりでプレーしている日本人選手は、インパクトロフトがマイナス傾向になってしまうのは、自然の流れなのだと思います。
■ ショットからの流れにも影響がある?
日本人選手のパッティングのインパクトロフトがマイナスになっている理由として、もう一点考えられることが、「 ショットからの流れ 」です。
【 ハンドファーストでダウンブローはもはや古い! 】で説明しているように、日本人選手は、世界の中でも最もハンドファーストの度合いが強い傾向になっています。
そのスイングの流れから、パッティングの時もハンドファーストでインパクトするほうが「 しっくりくる 」のではないでしょうか?
今回は、パッティングのインパクトロフトについて考えてきました。
日本人選手のインパクトロフトが、マイナス傾向になっている理由が少し見えてきましたね。
【 その2 】では、外国人選手のインパクトロフトが、プラス傾向になっている理由について考えてみましょう。