来シーズンのPGAツアー出場権を懸けてウェブドットコムツアー選手権の入れ替え戦を戦っていた石川遼選手。
最終戦を終えてランキング31位に終わり、PGAツアーの出場権獲得に失敗しました。
残念ながら5年間続いたPGAツアーへの挑戦は、一旦途切れることになります。
来シーズンの予定は未定ながら、まずは秋の国内ツアーに挑戦する石川遼選手。
今週の日本オープンゴルフ選手権が国内大会の復帰初戦になります。
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石川遼選手の現在の問題点
その石川遼選手の日本オープンゴルフ選手権の1日目のプレーを観察し、現在の彼の状況が少し分かってきました。
今回は石川遼選手の1日目のプレーで気になった点を説明します。
★気になった点
①ドライバーショットのフェース面が戻っていない
一番気になった点が、ドライバーショットのインパクトでフェース面がスクエアに戻っていなくて、明らかに開いていたことです。
その開いているフェース面を、ボールに対して巻き込むようにフェースをターンさせた時がドロー。( …と言うよりも1日目の石川遼選手のボールの質は、完全にフックでした。)
そしてフェース面のターンのタイミングが、少し遅れた時にプッシュアウトのボールになって大きく右に外れていました。
この石川遼選手のドロー ( 本当はフック ) とプッシュアウト、どちらのインパクト直前のフェース面の向きも、上の写真のように少し開いた状態になっているように見えました。
ただしさすがに石川遼選手はトッププロなので、フェース面は開いていましたが、インパクトロフトは上の写真のように寝ているわけではなく、アドレス通りのロフト角度にしっかりと戻っていました。
【 アマチュアゴルファー必見! ドライバーショットのインパクトの真実 】では、アマチュアゴルファーのインパクト直前のフェース面の状態について説明していますが、その内容を理解してもらえば、今回の石川遼選手の状態がなんとなくイメージ出来ると思います。
1日目の石川遼選手は、ほぼフックと言えるドローの球質だったので、極端に目標よりも右を向いたアドレスになっていて、本人のイメージ通りにフェース面を巻き込ませるようにターン出来た時は、フェアウェイに着地。
ターンのタイミングが僅かに遅れた時が右のラフ、という具合になっていました。
近年の世界のトップクラスでは、このように極端に右を向いてフックを打つ選手は、なかなか見ることが出来ません。
予選同組の小平智選手が、目標通りにスクエアに構えて、インパクトでもフェース面をしっかりとスクエアに戻し、力強いストレートボールを打っていたのとは対照的。
石川遼選手のこのようなドライバーショットを続けていたのでは、ボギーを打たない安定したゴルフを続けることは困難でしょう。
今シーズンの石川遼選手のPGAツアーのスコア内容は、バーディはそれなりに量産出来ていたものの、あまりにもボギーとダブルボギーが多かった。
つまり、バーディを奪える能力と技術がありながら、プレー内容とスイングのどこかに問題があると言うことでしょう。
その辺の問題点が察しられる1日目のゴルフ内容でした。
この石川遼選手の、ドライバーショットのフェース面が戻っていない問題。
石川遼選手は、【 ドライバーの短尺化が最後の切り札になるのか!? 石川遼選手のシード権への戦い 】で説明したように、今シーズン途中で一度、ドライバーのシャフトを短くしています。
今大会は何インチのシャフトを使用しているのかは分かりませんが、ヘッドは従来通りのキャロウェイ エピックスターを使用しているようです。
このヘッドは性能と人気も高く、よいヘッドだと思いますが、短尺ドライバーとしてヘッドを選ぶなら、もっと小ぶりのヘッドにしたほうがよいと思います。
短いシャフトでフェース面をしっかりと戻すには、戻すための時間が不足してくる傾向があります。
その対策として、長尺シャフトで使用していたヘッドよりも小さくしないと、開き気味のインパクトになりやすいのです。
短尺シャフト化は非常に効果が高く、皆さんにも強く推奨したいセッティングなのですが、よりよい効果を出すためには、小ぶりなヘッドを選ぶか、またはヘッドの戻りが早くなるシャフトを選んだほうがよいと思います。
この辺の内容は、【 自分にピッタリの短尺ドライバーを作ってみましょう! その推奨スペックを公開!! 】も参考にして下さい。
さて、ドライバーショットではフェース面が戻っていなかった石川遼選手ですが、アイアンショットでは問題なくスクエアに戻っていました。
しかしこのようにフェース面が、ドライバーが戻らずに、アイアンは戻っている状態が続いていては、本人の感覚的には好ましいものではないでしょう。
そして心配なのは、はたして本人はこのフェース面の問題を正しく理解しているのか?と言うことです。
日本のゴルフ理論では、ボールが左に行く時は、インパクト時のフェース面も左を向いていると思っている人も多いようですが、実際にはボールが曲がるときは、右に行く時も左に行く時も、その原因はインパクト直前のフェース面の戻りが遅く、少し開き気味になっているのです。
そのインパクト直前の開いているフェース面を、インパクト直後にかけての一瞬の間のクラブヘッドの動き方の違いで、ボールが右に出るか、左に出るかの違いが生まれています。
そのような右に、左に行くボールを防ぐためには、もっと早いタイミングでフェース面をスクエアに戻す意識を持つことが必要です。
それが出来るならば、インパクト前後でフェース面を急激にターンさせる必要がないので、曲がらない強いボールを打つことが出来るのです。
その状態を正しく理解していないと、ボールが左に行った時はフェース面がかぶってしまった、と単純に思い込んでしまうと、次はフェースのターンを少し抑えるので右にプッシュアウト、という出口のない迷路にはまり込むわけです。
1日目の石川遼選手のボールの性質を見ると、はたして石川遼選手が自分の状態を正しく理解出来ているのか、少し心配になるような状態でした。
②トラブルショットが下手になっていた
1日目のプレーで、ドライバーショットを大きく右に外し、障害物を避けるために大きなスライスを打たなければならない場面が、テレビ放送の中で2回ありました。
このような場面、皆さんもご存知のように過去の石川遼選手は得意としていたシチュエーションです。
しかし今回は2回とも明らかにミスをして、グリーンを大きく外してしまいました。
過去の石川遼選手なら、フェース面はボールを到達させたい方向に合わせ、スタンスはボールを打ち出したい方向に構え、そのスタンス通りに非常にうまく振り抜いて、コントロールされたスライスボールを打って、ゴルフファンを楽しませてくれていたものです。
しかし今回のトラブルショットでは、そのセットアップは似たようなイメージになっていましたが、本人の構えた姿からはうまく打てるオーラは感じられませんでした。
案の定、クラブヘッドの軌道が鋭角に入りすぎるスイングになって、スタンス通りのスライスではなく、フェース面の向き通りに右にすっぽ抜けるようなミスショットになっていました。
何故このような打ち方になってしまったのでしょうか?
今回はこの2点が大きく気になりましたが、その他のプレーではさすがのセンスも感じられました。
はたして今後の立て直しが見られるのか!?
皆さんもそのプレー内容を観察してみて下さい。
なお石川遼選手の今回のプレー内容に限らず、全体的なプレー内容についての課題は、【 石川遼選手の覚醒に必要なものは その1 】で説明しています。
そちらも合わせてご覧下さい。