2020/01/15
3月22日から行われていた世界ゴルフ選手権デル・テクノロジーズ・マッチプレーで谷原秀人選手が快進撃を見せてくれました。
世界ランク60位の資格で出場したこの大会。
上位に入って世界ランク50位以内になれば4月6~9日のマスターズ出場権が獲得出来るという状況でした。
そして世界ランクを上げるためにはこの大会が最後のチャンス。
そんな状況の中で迎えた初戦の相手がいきなりジョーダン・スピース選手。
世界ランク5位の強豪選手で、しかもこの大会は地元開催。
強風の中で行われたこの勝負、見事に谷原秀人選手が勝利しましたが、ここで目についたのが、谷原秀人選手のアイアンショットです。
強風の中にもかかわらず、打ち出し角の高い弾道で、バックスピンに頼らないで優しく落下して止まるボールを打っていました。
現在の世界の主流になっているボールの性質ですが、ジョーダン・スピース選手が強風に対応するために、普段よりもボールをつぶすように打っていたにもかかわらず、逆に谷原秀人選手は日本ツアーの時よりも高弾道のボールを打っているように見えました。
日本ツアーでの谷原秀人選手は、他の日本人選手とそれほど変わらない打ち方、つまりハンドファーストでダウンブローのインパクトによって、ボールをつぶすように打ち出して、バックスピンでボールをグリーン上に止める打ち方をしていたと思います。
ところが今大会のジョーダン・スピース選手との試合だけでなく、その後もハンドジャストのレベルブローと言える、入射角の緩いインパクトから高い打ち出し角のボールでプレーを続けています。
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はたしてこの変化は?
谷原秀人選手はマスターズ出場を目指し、日本ツアーが開催されないこの時期に、世界ランクを上げるために海外の試合を転戦していました。
その厳しい海外での経験の中で磨かれてきたテクニックなのでしょうか?
いずれにしても、この谷原秀人選手の変化は日本ツアーにとって大きくプラスに働くかもしれません。
これまでにも松山英樹選手がこのような打ち方をしていましたが、松山英樹選手は身体も大きくパワーが日本人離れしているために別格扱いされているのか、他の日本人選手からは彼の打ち方を参考にしようという選手がなかなか現れません。
その点で、178cmで38歳という谷原秀人選手が、ボールの性質を変えれば世界のトップクラスと十分勝負出来ることが証明してくれたので、他の日本人選手にも大きな刺激になるのではないでしょうか?
谷原秀人選手はその後も勝ち進み、見事に4位に入り10年振り2度目のマスターズの出場権を獲得!
さすがに準決勝と3位決定戦では疲労のためか、アイアンショットのキレが少し落ちていたようにも見えましたが、今後のマスターズ、そして日本ツアーでまたあの素晴らしいアイアンショットが見られることを期待します。
谷原秀人選手のスイングだからこそのアイアンショット
谷原秀人選手のアイアンショットの変化。どのような経緯で変化したのかは分かりませんが、もともと彼のスイング自体がいつでも今回のようなアイアンショットが打てる準備が出来ていました。
なぜなら、谷原秀人選手は ( 本人がどのように自覚しているのか分かりませんが ) 日本人には珍しい左一軸スイングです。
アドレスからバックスイング、ダウンスイングからフォローまでの一連の動きは、身体の中心よりもやや左の回転軸でのスイングになっています。
トップからの切り返しで腰が先行する動きは少なく、左への腰の移動量も少ないスイングです。
ダウンスイングのタメを作る動きも少なく、トップからの切り返しからすぐにクラブの回転運動が始まっています。
つまり、スイングの回転軸を移動させないという重要な点を含め、松山英樹選手とは非常に近いスイング理論なのです。
そのようなスイングだったので、今回のようなアイアンショットを打つことは、本人の意思があればいつでも打てる状態でした。
谷原秀人選手が常に今回のようなアイアンショットが打てるなら、もともとパッティングはワールドクラスのレベルだったので、今後の活躍が更に期待出来るでしょう。
日本人選手はもっと世界と戦えるはず!
多くのスポーツの中でも「 ゴルフ 」こそが日本人が世界と戦えるスポーツだと思っていましたが、残念ながら松山英樹選手が登場するまでは、期待するほどの活躍が見られませんでした。
その原因だったのが、日本の従来のゴルフ理論だと思っていましたが、今回の谷原秀人選手の変化によって、今後の日本のゴルフ理論も変わるかもしれません。
他の日本人選手も続いてくれることを期待します。