今回はスリーブ仕様のドライバーの利点を生かして、シャフトのバリエーションを増やすことによって、気温の変化にうまく対応する手法を紹介します。
気に入ったドライバーヘッドが見つかれば、それをベースにしてシャフトのバリエーションを増やすことが可能になり、とても大きなメリットが生まれてきます。
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気に入ったドライバーヘッドを最大限に活用する!
【 夏用ドライバーは、やっぱり『重・短・小ドライバー』だった! 】でも紹介していますが、気温の変化によってドライバーのシャフトのフィーリングが変わってしまい、スイングの調子や飛距離に大きな影響が出てきます。
その対策として、それぞれの気温に合うドライバーに適宜変更すればよいことになりますが、それでは手間もコストもかかってしまうデメリットも生まれます。
そこで、最近主流になっているスリーブ仕様のドライバーならば、気に入ったドライバーヘッドを1つ見つけて、シャフトだけを別に用意すればよく、その手間もコスト面でも、かなり無駄を減らすことができます。
今回はそのようなパターンで、1つのドライバーヘッドに対して、複数のシャフトを用意するにあたってのコツと注意点を紹介していきます。
理想のドライバーを見つけてバリエーションを増やしましょう!
今回使用するドライバーは、【 理想のドライバーが遂に完成!! その1 】で紹介したナイキ ヴェイパー フライです。
その記事の時点では、かなり広い気温帯をカバーできると思っていたのですが、その後に他の所有ドライバーの仕上がりが進んできて、全体のレベルが上がってくると、この仕様の最適な気温帯は5℃~20℃だと感じるようになりました。
それ以上の気温帯になると、飛距離性能は高いままなのですが、他のドライバーの方が打ちやすく、安定性が高くなっていたのです。
そこでそれぞれの気温帯に合わせて、ドライバー自体を別な物に変更して対処していました。
しかし実際に使用する僕の奥さんによると、打感や飛距離性能、そしてコントロール性などのトータルで考えると、現在の我が家のドライバーの中ではヴェイパー フライが一番気に入っているとのこと。
その気に入っているドライバーヘッドを、シーズンを通してもっと多く使用したいという要望が入りました。
それならばと、スリーブ仕様のヴェイパー フライを活用し、もっと高い気温でも適応するシャフトを見つけだして、同じヘッドのまま、シャフトだけを気温帯に合わせて交換するという対処法を探ることになりました。
そこで20℃以上の気温帯への適合を狙って、バリエーションアップとして選択したシャフトが、フジクラのスピーダー 661エボリューション Ⅳ のSフレックスです。
■ ヘッドデータ
ヘッド体積 : 450cc
ヘッド重量 : 201.4g ( 純正スリーブ )
ロフト角 : 11.5°
フェース角 : ニュートラル
■ シャフトデータ
シャフト : フジクラ スピーダー 661 エボリューション Ⅳ
シャフト長さ : 44.75インチ
フレックス : S
シャフト重量 : 67g ( カット後 )
トルク : 3.7
■ クラブデータ
クラブ重量 : 318g
ヘッドバランス : D0
● シャフト選択の理由
シャフトを選択するにあたり、過去の試打経験での打ちやすさと飛距離性能のデータを基に絞り込むと、スピーター 661エボリューションシリーズがまず頭に浮かびました。
【 理想のドライバーまであと一歩に迫る! 】では、スピーダー 569エボリューション ⅣのXフレックスが好印象だったのですが、少し軽くて、少し硬く感じたので、もう少しシャフト重量が重い方が打ちやすそうだと感じていました。
そこで近所の量販店に出向き、スピーダー 661エボリューションのSフレックスの中古クラブを探し、在庫にあったⅡ~Ⅴまでの各シリーズのシャフトを打ち比べてみました。
各シャフトでドライバーヘッドは全て違う銘柄だったにもかかわらず、スピーダー 661エボリューションシリーズのシャフト自体はどれも打ちやすく、そして試打データ上でも、最新のドライバーヘッドとシャフトの組み合わせよりも飛距離性能は優れていました。
つまり僕の奥さんには、基本的にどのスピーダー 661エボリューションシリーズでも打ちやすく、飛距離性能が高かったということなのです。
そこで歴代のⅠ~Ⅶのシリーズの中から選ぶにあたり、その中でも最もクセがなく、そして中古価格が安くなってきたⅣに狙いを定めることにしました。
● セッティングの説明
ドライバーヘッドがヴェイパー フライ、シャフトがスピーダー 661エボリューション Ⅳに決まったことで、残るはシャフトの長さ設定とスリーブの種類の選択です。
同じナイキのスリーブであっても、ヴェイパー フライなどのシリーズと、コバート 2.0などのシリーズでは、スリーブの重量が5g違うので、その点もセッティングに利用することができます。
今回はまずシャフトの長さを44.75インチという、少し短尺にすることを先に決めて、あとはヘッドバランスがD0~D1に収まるようにスリーブの種類を選択することにしました。
その結果、ヴェイパー フライ用の標準スリーブでヘッドバランスがD0になったので、そのスリーブで決定しました。
まずはその状態で打ってみると、飛距離性能と打ちやすさは良好でしたが、少しボールが右方向に滑り気味になって、飛距離もロスしているように見えたので、鉛のテープ0.3gを写真❶のようにヒール側に貼りました。
❶
これで右側へのボールの滑り感は減少しましたが、まだあと一歩のフィーリングが不足していました。
そこで得意とするシャフトへの鉛の調整を行ったところ、写真❷のようにチップ側に鉛のテープを1巻きしたところ、バッチリと決まったのです。
❷
このブログでは『 チップ巻き 』と勝手に名づけていますが、過去にも【 鉛の貼り方 】で説明している方法で、シャフトが柔らかすぎる時だけでなく、微妙に特性を変えることにとても効果のある方法です。
● クラブの性能
この仕様が完成したのは9月だったので、気温35℃以上では試すことはできていませんが、気温30℃前後では抜群の性能を発揮してくれました。
ただし僕の奥さんにとって間違いなくハードスペックなので、気温25℃よりも下がってくると、打ちやすさと安定性は維持できるものの、飛距離性能は5ヤードくらい落ちる傾向で、気温20℃以下では更に5ヤード落ちるようになりました。
したがってこの仕様に最適な気温帯は、25℃~35℃ということになります。
つまり、当初は気温20℃以上に適応するシャフトとして狙ったのですが、結果的にはもう少し上の気温帯をカバーする仕様に落ち着いたということです。
今回のまとめと今後の方針
今回は当初の狙いよりも少し上の気温帯になりましたが、かなり完成度が高いドライバーのバリエーションが出来上がりました。
これで我が家には、スピーダー 661エボリューション Ⅳ仕様で気温25℃~35℃をカバー、コバート 2.0純正シャフト仕様で気温5℃~20℃をカバー、そして気温5℃以下の真冬の練習用としてヴェイパー フライ純正シャフト仕様でカバーするという、1つのヘッドに対して気温の変化と用途に合わせて3種類の仕様が完成しました。
現在10月の気温は15℃~25℃なので、【 理想のドライバーが遂に完成!! その2 】で紹介したバルド コンペティツィオーネ 420+クロカゲ XD 60を使用していますが、今後はその気温帯にも適合するヴェイパー フライ用のシャフトを用意する予定です。
そのために実は、既にヴェイパー フライのドライバーヘッド単体をもう1つ用意してあり、気温の変化に対して、より臨機応変に対応できるように準備を進めています。
今回説明したように、スリーブ仕様の利点を生かせば、気温の変化に対して簡単に対応できるようになるので、練習量の少ないアマチュアゴルファーにとっては、とても大きな武器になると思います。
そしてそのシャフトの選択は、けして同じ銘柄のシャフトに統一する必要はないと思います。
もちろん、気に入ったシャフトのSフレックスが夏用で、SRフレックスが春秋用、Rフレックスが冬用、という具合に単純に決まってくれるなら、とても分かりやすくて苦労はありませんが、現実はそんなに甘くはないでしょう。
その気温に対して相性のよい重さと特性があるはずなので、柔軟な思考でシャフトを選択してみましょう。
そのためには、いろんなクラブとシャフトの試打を重ねる必要がありますが、それはとても興味深く楽しい作業なので、皆さんももっと理想を追求してみてはいかがでしょうか。