毎年この時期は最新ドライバーが発売されるので、皆さんも購入意欲がそそられている頃だと思います。
魅力的な宣伝文句が並び、あれもこれもと欲しくなるのは仕方のないこと。
しかし高価な最新モデル、なるべく失敗しないで、自分に合うドライバーを見つけたいものですね。
今回はヘッドスピード45m/s以下の人向けに、そんな最新ドライバー選びのコツと注意点を説明したいと思います。
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自分に合うドライバー選びこそが最重要課題!
最新モデルの発売とともに、各メディアから魅力的な情報が溢れてくるので、ついつい購入したくなってしまうのがゴルファーの性。
しかし実際に購入してみると、メディアの評判通りにはいかず、いったい何が進化したのかさえ分からないという人が多いことも事実。
それならば、「 よさそうなシャフトを2~3本購入すればよかった… 」と後悔することもあるでしょう。
しかし、現在満足できるドライバーを所有していなければ、いくらシャフトを変えてもあまり効果はないので、まずは少なくとも1本は信頼できるドライバーを用意しなければなりません。
そこで今回は、数多くのドライバーの中から、もっと自分に合う1本を探しだす方法を考えていきましょう。
自分に合う最新ドライバーの選び方
■ 最新ドライバーの特徴を知る
最近のドライバーは、各メーカーが揃って目指すテーマが決まっているらしく、ここ数年は「 高初速 」がテーマになっていますが、これがかなりクセモノなテーマだと思います。
最大反発係数が決まっている中で、もっと初速を上げることの難しさと矛盾の中で、各メーカーが独自の工夫を施しているわけですが、その影響は悪い方にも確実に表れます。
とくに悪影響が出ているのがアスリートモデルです。
最近の世界のトッププロはアスリート化が進み、ヘッドスピード60m/s近い選手が多くなりましたが、その選手達が使用してもすぐには壊れないだけのヘッド剛性がまずは必要になるわけです。
例えば数年前の話では、PGAツアーのキャメロン・チャンプ選手は、3ヶ月に1本のペースでドライバーヘッドが壊れていたそうですが、そんな凄い選手にも安心して使ってもらえるように、どうしてもメーカーは丈夫なヘッドを作る方向に進むことになります。
そのような高剛性のヘッドで初速が速いということは、ヘッドスピードがトッププロのように速くないと、球離れが早すぎてコントロールが難しくなるのは当然のこと。
つまりそのような特性のヘッドでは、ヘッドスピード45m/s以下の一般的なアマチュアゴルファーは、飛距離性能を発揮できないだけでなく、安定したプレーができるはずがないのです。
その問題点をクリアするために、各メーカーもいろんな工夫を重ねているので、今後にどのような進化があるのかを注目していきたいのですが、現状ではまだとても難しい問題になっています。
■ プロとアマチュアの望んでいる特性が違う
プロとアマチュアでは、フェースターンの量が基本的に大きく違うことをこれまでにも説明してきました。
そのうえで最近のアスリート化した世界のトッププロ達は、つかまりすぎてボールが左に行くことを嫌う傾向が進んでいて、ほとんどの選手がパワーフェードの球質を求めています。
つまりフェースターンの量が少なく、多くの人がスライスに悩んでいるアマチュアには、そのようなヘッド特性は合うはずがありません。
高剛性で、高初速で、球離れが早く、ロースピン化が進んで、そこに加えて捕まらない傾向が進む最近のアスリートモデルは、いくらクラブ加工技術が進化していても補いきれないくらいに、アマチュアには適さない方向へどんどん進んでいたのです。
その傾向が最も強かったのが、2021年~2022年のアスリートモデルではないでしょうか。
■ 女子プロも苦戦していた2022年のアスリートモデル
このような状況を、【 最新ドライバーを試打してみました!! その1 】~【 その5 】で報告していて、その性能に疑問を感じていたのですが、実際に女子プロの結果からもその傾向が読み取れるデータになっています。
2022年の国内女子ツアーのLPGA併催を除く37戦で、なんとステルスが1勝、ローグが2勝しかしていないのです。
キャロウェイは、西村優菜選手と上田桃子選手がシーズン早々にエピックに戻したので、旧モデルのエピックが4勝、そして稲見萌寧選手がマーベリックで2勝しています。
つまりステルスやローグはハードすぎたので、女子プロでも実際には手こずっていたということです。
使用人数が多く、そして2022年に最も売れたドライバーの成績としてはあまりに寂しいものですね。
それだけでなく、ヘッドスピードが50m/sくらいの男子プロでも、気温が低い雨の中では、驚くほどに飛距離が落ちていました。
そんな中、ダンロップはいち早くシーズン中の9月にZX5、ZX7のMkⅡを投入して以降、後半戦だけで4連勝を含む6勝を達成した点は要注目です。
このモデルは最近流行りのカーボンクラウンを捨てて、フルチタンに回帰したモデルで、ハードすぎた特性を剛性コントロールがしやすいフルチタン化で補っているのかもしれません。
■ それでもアスリートモデルを選ぶなら…
このように最近のアスリートモデルは、以前よりもハードすぎる傾向になっていて、それをカバーするためにアマチュア向けとして、長すぎて、軽すぎて、柔らかすぎる純正シャフトでなんとか帳尻を合わせているような状態だと思います。
したがって、本当はヘッドスピード45m/s以下の人に適しているはずの60g前後のカスタムシャフトでは、つかまらなかったり、ロースピンすぎてドロップしたり、インパクトで滑って大きく曲がったり、という悲しい結果になりやすいわけです。
しかしやはりゴルファーの性としては、アスリートモデルに惹かれてしまうのは仕方ないこと。
そこでそんな人が選ぶとすれば、せめてシリーズの中でもつかまりがよくて、リアルロフト角が10°以上のモデルを選択しましょう。
もしくは【 2022年のベストドライバーはこれだ!! 】でも紹介したように、アスリートモデルだとしても、世界のトッププロが使用していないモデルならば、彼らの要求に応える必要はないので、もっとクラブ開発の自由度は広がります。
過剰な剛性にはならずに、適度なつかまり感も確保されていて、最新モデルらしいハジキ感も味わえる可能性が高いわけです。
■ アスリートモデル以外も考えてみましょう
もしアスリートモデル以外にも目を向けられるならば、もう少し可能性は広がります。
たとえばブリヂストンのB3 SD。
このモデルはアベレージゴルファー向けの軽量モデルですが、古江彩佳選手は自分に合うもっとハードなシャフトに交換して使用しています。
当然アスリートモデルよりもボディ剛性が低いので、インパクトのコントロール性が高くなり、安定した飛距離性能を狙えることになります。
そして2023年モデルからは、テーラーメイドのステルス グローレ プラスやピンのG430 HLシリーズが登場しました。
どちらもアベレージ向けの軽量モデルですが、スリーブ仕様なので、もし純正シャフトが長すぎて、軽すぎて、柔らかすぎる場合でも、自分に合うシャフトに手軽に交換することができます。
その他のアベレージモデルでも、45m/s以下のゴルファーに適合する可能性がありますが、純正シャフトはアンダースペック傾向が強いので、リシャフトが必要になるでしょう。
その点を含めて今後ドライバー購入を考えるのならば、やはりスリーブ仕様がよいと思います。
スリーブ仕様なら、シャフトを2~3本用意すれば、季節の変化やスイングの変化にも合わせることができるので、シーズンを通して大きな武器になると思います。
その他にも、【 素晴らしい反発力のドライバーが完成!! 】で紹介しているような「 裏技 」も考えらます。
2023年モデルには、キャロウェイ パラダイム X ウィメンズに10.5°のスリーブ仕様が用意されました。
ステルス2 HD ウィメンズの12°とおそらくリアルロフトは同じくらいだと思うので、ヘッドスピード40m/s前後の人には、この両モデルは試す価値があると思います。
レディス仕様の短尺での飛距離性能を知れば、もう長尺が必要ないことを実感できるはずで、そこから自分に合うシャフトに交換すれば最強かもしれません。
今回のまとめ
最新ドライバーの選び方のコツと注意点を説明してきました。
重要なことは、メーカーの宣伝文句やハードヒッターの評判には惑わされずに、自分にとっての最大飛距離性能と優れたコントロール性を追求することだと思います。
そしてメーカーも休むことなく改善を続けているので、もしかしたら2023年のアスリートモデルでは、ヘッドスピード45m/s以下の人でも、かなりよいフィーリングになっているのかもしれません。
各メーカーからニューモデルが出揃ったら、まずは試打をしてみましょう。
そしてできることなら、ゴルフショップの店内よりも、練習場やコースで試してみることをお勧めします。
店内は25°前後の一定した室温であり、狭い空間では身体の開き具合やヘッドアップの度合いが自然に抑えられるので、本当の自分のスイングとは違う可能性があるので、後で後悔しないようにその点を気をつけましょう。