日本の女子ゴルフ界に新世代の風が吹いています。
15歳の時にアマチュアながら最年少記録を更新して優勝した勝みなみ選手、17歳でアマチュア初の日本女子オープンに優勝した畑岡奈紗選手。
ともに同年代のニューヒロイン。
彼女達は黄金世代とも呼ばれていて、これからの日本のゴルフ界をけん引してくれる存在として期待されています。
そこで注目したいのが彼女達のスイング。
二人に限らず同世代の選手達のスイングが20歳以上の先輩プロ達のスイングと少し変わってきているように感じます。
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新世代のスイングには変化が見られる
そのスイングとは、下半身が先行する動きが少なく、左にスイング軸が移動する動きも抑えられて、クラブに効率良く回転運動が与えられています。
ダウンスイングのタメも少なく、ハンドファーストでダウンブローの度合いも少なくなっています。
つまり松山英樹選手をはじめとする、最近の世界のトレンドに近いスイングであり、世界の女子ゴルフを席巻している韓国の選手達にも近いスイング。
日本のゴルフ界は現在でも、下半身リードで切り返し、左に体重移動。ダウンスイングでタメを作り、ハンドファーストでダウンブロー…というスイング理論が主流を占めているのに、何故彼女達はあのようなスイングになったのか?
ゴルフ環境の違いがスイングを変えた?
そこで考えられるのが、彼女達がゴルフを始めた時のゴルフクラブの環境です。
以前はジュニア用のクラブを店頭で見かけることはほとんどありませんでしたが、最近では品ぞろえも多くなってきました。
そんな環境でゴルフを始めているので、その成長過程の中でも、自分の身体能力に適したクラブでゴルフを続けられるので、無駄のない効率的なスイングが自然に出来上がっているのではないでしょうか?
■ 従来のゴルフ理論のルーツは…?
その点で彼女たちよりも上の世代では、ジュニア用のクラブがほとんど無かった状態でゴルフを始めているので、大人用のクラブをそのままか、短く切ってゴルフを始めている場合が多いようです。
有名プロ達の幼い頃の映像を見ると、皆さん大人用のクラブを振っています。
自分の身体能力よりも重すぎるクラブでスイングするとどうなるか?
身体を目一杯使って、バックスイングでは右への体重移動を利用してクラブを上げて、ダウンスイングではクラブよりも下半身が先に動いて身体も左に流れます。
クラブが重いので手元が先行してしまい、振り遅れるようにクラブが動き、その結果としてハンドファーストでヘッドが鋭角に下りる…というスイングになります。
この重いクラブを振るジュニアゴルファーのスイング、これこそが従来のゴルフ理論のスイングの原型なのではないでしょうか?
ジュニアゴルファーが重いクラブを振っていた時のクセを、年齢とともに洗練されて完成度を高めていったものが、下半身リード、左への体重移動、タメを作るダウンスイング、ハンドファーストでダウンブロー、といったスイング理論につながっていると思われます。
つまり現在の日本のゴルフ事情は、ジュニア時代に重いクラブでゴルフを始めたプロゴルファーとプロコーチが、自分達の経験をもとにアマチュアゴルファーにアドバイスを送っている、という状態。
ところがほとんどのアマチュアゴルファーは、大人になってからゴルフを始めているので、ジュニアゴルファーよりもパワーがありますが、その代わりに身体は硬い。
しかしそれぞれが、自分に適した重さのクラブでゴルフを始めることが出来ます。
このような関係になるので、教える側のプロゴルファーとプロコーチ、教えられる側のアマチュアゴルファーでは、その理論と感覚が噛み合わないのは仕方ないかもしれません。
日本のゴルフ理論が変わる日は近い!?
その点で、ジュニア時代から自分に適したクラブでゴルフを始めることが出来ている次世代のゴルファーには、今後の活躍が大いに期待出来るのではないでしょうか?
次世代のゴルファー達は、現在の世界のトレンドとも言える、シンプルで効率的なスイングの選手が多く、フィジカルトレーニングへの意識も高くなっています。
きっと松山英樹選手に続いて、世界のトップとして活躍してくれる選手が出現するはず。
そして、その次世代のゴルファー達が日本のゴルフ界の中心的な存在になった時は、現在のゴルフ理論も大きく変わり、もっとアマチュアゴルファーのゴルフが簡単になる時代がやってくると予想します。
はたしてそれは、5年後なのか?それとも10年後なのか?