2024/11/24
2018年4月5~8日、いよいよマスターズが開幕します!
日本人初のメジャー制覇への期待が高まる松山英樹選手に注目したいのはもちろんですが、忘れてはいけないのがタイガー・ウッズ選手です。
怪我からの復活を果たしたタイガー・ウッズ選手のプレーは、やはり見逃せないでしょう!
そこで今回は、タイガー・ウッズ選手の現在のプレー内容を分析してみます。
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復活したタイガー・ウッズ選手のプレー内容は…!?
マスターズ
にタイガー・ウッズ選手が戻ってきました。
長年多くの怪我に悩まされ続けてきたので、もう回復は難しいものと思われていましたが、突然のように元気な状態で復活してくれたのです。
昨年に酒気帯び運転の疑いで逮捕されてしまった時は、もう復活は無理なのかと誰もが失望したことでしょう。
そこから僅か10ヶ月でここまでに回復できたことには、驚きしかありません。
プレー中に痛そうなそぶりが全く見られない姿を見るのは、いったい何年振りなのでしょうか?
そして、痛みが消えたタイガー・ウッズ選手のプレーは、やっぱり凄かった。
年齢的な衰えを全く感じさせないパワフルなスイングは、ヘッドスピード57m/sを記録したそうです。
今回はそのスイングを分析して、アマチュアゴルファーが見習いたいポイントと、逆に見習わないほうがよいポイントについても説明します。
タイガー・ウッズ選手のスイング分析
◆ ティーショット
怪我の痛みを抱えていた頃は、痛みへの対策のためにスイング改造を繰り返したものの、そのスイングの内容は明らかに迷走していました。
しかし今回の痛みが消えたスイングは、過去のタイガー・ウッズ選手のスイングの中でも、かなりよいレベルのスイングになっています。
上半身だけのスイングを見ると、非常にスムーズでよい動きが出来上がっているので、この上半身の動き方は見習いたいポイントです。
その一方で下半身の動きは、とても複雑であり、あまりよい動きとは言えないので、真似はしないほうがよいでしょう。
タイガー・ウッズ選手の特徴である、ダウンスイングで沈み込み、インパクトからフィニッシュにかけて伸び上がる膝の動きは、上半身の動きとバランスが取れているとは言えず、逆に上半身の動きを邪魔しているようにしか見えないのです。
ヘッドスピードはトップクラスなので、当然飛距離は抜群なのですが、とにかく精度が低く、なかなかフェアウェイをキープすることが出来ません。
ドライバーの精度が低すぎるので、ドライバーを使わないホールが非常に多くなっていて、せっかくの「飛ばす能力」が生かされていないのです。
下半身の動きを、もう少し上半身とのバランスが取れるように改善するか、下半身の動き自体をもっと抑えることが必要でしょう。
★ ティーショットのまとめ
タイガー・ウッズ選手のドライバーのティーショットは、飛距離は確かに凄いものの、誰よりも曲がっていることも事実。
そもそも「 飛ばす能力 」については、その人の身体能力とフィジカルトレーニングによって生み出されるヘッドスピードに大きく左右されるもの。
スイングの内容やクラブの操作方法によっても、ヘッドスピードは多少変化しますが、それはあくまでも二次的な要因です。
たとえばタイガー・ウッズ選手の「 沈み込んで ➔ 伸び上がる 」という膝の動き方を、地面の反力を利用しているからだ…と、飛距離の秘訣として安易に結びつける理論には賛成しません。
その膝の動きは、逆に「 曲がる要因 」になっていると考えるべきです。
57m/sを記録したヘッドスピードも、ゴルフ界の常識だけで考えると、とても日本人選手には太刀打ちできないように思われますが、【 ゴルフをもっと簡単にするためには!? その4 】で紹介したように、プロ野球の菅野智之選手は57m/sのヘッドスピードで、軽々と300ヤードオーバーを記録しています。
…と言うことは、たとえ日本人選手であっても、そのヘッドスピードはトレーニング次第で実現可能な数値であり、あえて地面の反力を使う意識は必要ないのです。
ところが日本のゴルフ理論は、飛距離やヘッドスピードの要因を、その選手のスイングの内容だけに結びつけて説明する傾向になっているので、その点には少し注意が必要でしょう。
※ 追記
タイガー・ウッズ選手の下半身の動き方に変化…?
マスターズが開幕してタイガー・ウッズ選手のプレーをチェックしたところ、膝の動き方がよくなっているように見えます。
沈み込む動きが抑えられているだけでなく、上半身の回転を妨げないようにスムーズに動いていました。
はたしてこの動きが最終日まで保てるのか?
その点を観察してみましょう。
◆ セカンドショット
ティーショット後のセカンドショットからは、膝の上下動が少なくなり、上半身の素晴らしい動きが生かされているので、スイングの精度が非常に高くなっています。
とくに必見なのは、トラブルからのリカバリーショットを打つ時の下半身の動き方です。
無駄な動きが抑制されて、上半身の動きを邪魔しないので、まるで魔法のようなリカバリーショットが可能になっているのです。
この点は見習いたいポイントですね。
ティーショットでも、セカンドショットのような下半身の動き方に抑制できるなら、もっと精度が向上するはずなのですが、分かっていてもティーショットではついつい「 力み 」が出てしまうのでしょうか?
★ セカンドショットのまとめ
ティーショットを曲げて、いろんな場所からグリーンを狙うタイガー・ウッズ選手のセカンドショットは見どころ満載で、まるでわざと曲げて見せ場を作っているかのようですね。
もちろんアマチュアゴルファーが簡単に真似できるものでもなく、逆にあのようなリスキーなトラブルショットにはトライしないほうが、結果的にはスコアアップに結びつきます。
下半身と上半身の動きの連動性だけを参考にして、スリリングなショットは見て楽しむだけにしておきましょう。
◆ アプローチショット
タイガー・ウッズ選手のアプローチショットは絶品ですね。
その状況に応じて、非常に多彩で精度の高い技を見せてくれます。
その精度の高さを生み出しているのが、無駄な動きが一切見られない下半身の動き方なのは言うまでもありません。
安定した土台によって、上半身の完璧な動きが生きてきます。
多くのアマチュアゴルファーの下半身の動き方とは明らかに違うので、この点は是非見習いましょう。
もう一点、見習いたいポイントは、フェース面のコントロールの仕方です。
多彩な打ち方の中でも、フェース面は常にシンプルに動いています。
フェース面の開閉を抑えて、途中で軌道を変えたり、加速するような動きもありません。
このようなフェース面のコントロールが、正確なアプローチショットの秘訣なので、少しでもそのコントロールの仕方を盗み取って下さい。
★ アプローチショットのまとめ
タイガー・ウッズ選手のアプローチショットは、本当に多くの引き出しを持っていて、【 世界のトップ選手と日本人選手とのアプローチショットの違いを分析 】で紹介したような現在の世界の主流となっている打ち方だけでなく、時には日本人選手のような打ち方も活用しています。
しかし、たとえ日本人選手と同じような打ち方であっても、その中身には確かな違いがあるので、その点をしっかりと観察して下さい。
その違いとは、ヘッドを途中で加速させることなく、そして芝 ( ライ ) に対しての攻撃性が少ないことです。
たとえばラフからのロブショット、石川遼選手などは子供の頃からタイガー・ウッズ選手を真似してロブショットを練習していたそうです。
しかし形だけは真似ているものの、ボールにスピンをかけるために、フェース面でボールの下側を切るように加速させているので、実際にはボールがフェース面を滑っているだけでスピンはかからずに、スッポ抜けるか、逆にボールに勢いがついてしまい、「 ふわり 」としたボールを正確には打てていません。
その点タイガー・ウッズ選手は、フェース面からボールを滑らさないように、優しくスピンをかけているので、その点の違いを見抜いて下さい。
◆ パッティング
もともとパッティングには定評のあったタイガー・ウッズ選手。
そのパッティングストロークは、全てのゴルファーのお手本になるものです。
最大の特徴は、完璧な振り子運動のストロークが作られていることです。
両肩とグリップ、そしてパターヘッドが見事に連動して、正確でリズムよくストロークされています。
振り子の動きによって最下点でインパクトしているので、パターヘッドのロフト角に相当するくらいのプラスロフトの角度でインパクトが作られています。
【 なぜ日本人選手は世界で活躍できないのでしょうか!? 】で説明したように、ほとんどの日本人選手が、マイナスロフトでインパクトしている点とは、全く考え方が違っているのです。
たとえばタイガー・ウッズ選手は、10年ほど前のマスターズでは、通常は2~4°のパターのロフト角を6~7°に変更して使用していたそうです。
その説明は【 こちら 】で説明しているのでご覧下さい。
その説明を読んでもらえば納得してもらえると思いますが、タイガー・ウッズ選手の直線的に狙っていけるパッティングの秘訣は、インパクトロフトの角度にあることは間違いないでしょう。
★ パッティングのまとめ
タイガー・ウッズ選手のパッティングストロークの素晴らしさには、アマチュアゴルファーも憧れてしまうはず。
その完璧な振り子のストロークを作る秘訣は、インパクト時のグリップ位置のコントロールです。
【 パターの打ち方のコツ 】を読んでもらい、そのコツを理解してからテレビ観戦でイメージをつかんで下さい。
最後に
怪我を克服したタイガー・ウッズ選手のプレーは、やはり魅力的なものでした。
ドライバーは飛ばしながらいつも大きく曲げて、悪い状況から果敢にグリーンを狙い、成功すれば「 ドカ~ン 」と大歓声。
たとえグリーンを外しても、そこから魔法のようにピンに寄せるアプローチ。
仕上げのパッティングも、攻撃的なタッチでカップを狙い、入れば派手なガッツポーズ。
こんなプレーをされたら、観客が引きこまれてしまうのは当たり前。
現在の世界のゴルフ界は、以前のタイガー・ウッズ選手の全盛時代よりも、強力なライバル達がひしめいていますが、新たな伝説が作られるような活躍を期待しましょう。