「 フォローでヘッドを加速させる 」、これはゴルフ理論では鉄板の考え方ですね。
ところがこの考え方が、ゴルフ上達への道を阻んでいる強固な壁になっていたのです。
この考え方を変えることができれば、スイングの問題点が次々と消え去っていくことを説明します。
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スイングスピードの考え方を変えてみましょう!
ゴルフレッスンで必ず登場してくるのが、「 フォローでヘッドを加速させるようにスイングしなさい! 」というフレーズです。
ほとんどのプロゴルファーとプロコーチが、口をそろえて唱えているので、常に聞かされているアマチュアゴルファーは、いつの間にかその考え方に納得してしまい、フォローで加速するように意識して、懸命にそのスイングに取り組むことになります。
フォローで加速させるように意識してはいけません!
ところが、この「 フォローで加速させる 」という意識が、フルショットからアプローチのコントロールショットまでの全てのショットにおいて、確実にスイングに悪影響を及ぼしています。
加速させるメリットよりも、デメリットのほうが多いので、結果的には、加速させようと思えば思うほどにゴルフが難しくなってしまうのです。
『 ゴルフスイングはフォローの加速禁止! 』
こんな標語をゴルフ場やゴルフ練習場に掲げてもらえるならば、皆さんの意識も変わり、ゴルフが簡単になっていくと思うのですが…。
フォローで加速させるように意識してはいけない理由
自分でわざわざ意識しなくとも、ゴルフクラブを使ってスイングすれば、運動エネルギーと遠心力によって、必ずクラブヘッドは加速します。
それで十分なのです。
バックスイングからダウンスイングへ切り返す時に、クラブの重さを利用して下方向にスイングすれば、運動エネルギーと遠心力でクラブヘッドは「 ビューン! 」と加速して、最下点付近にあるボールに向かって最大のパワーが生まれます。
その時にボールをとらえて、フォローではそのエネルギーの流れを止めないように振りきるだけでOK。
注意するべき点は、クラブの回転運動を効率よく保つために、スイング軸をキープすることです。
上下左右にスイング軸がズレないように、回転運動の軸を作ることが大事なポイント。
ところがフォローで加速させようと意識すると、スムーズな回転運動に歪みが起きるような余計な動きが入ってしまうのです。
腕の動きだったり、下半身の動きだったりと、スイング中に余計な動きが入ることによって、スイングが乱れて精度が落ちてしまうなら、かえってマイナス要因になるだけ。
毎日クラブを振っている人なら、その余計な動きもやがて滑らかなものへと変えていけるかもしれませんが、週1回くらいしか練習しない人は、余計な動きが大きくなり、スイングが乱れてしまうだけなのです。
アプローチでは逆に減速させたい!
アプローチショットでも「 フォローで加速させる 」という考え方が主流なのですが、この考え方は絶対に止めましょう。
シビアにクラブヘッドをコントロールしなければならないのに、スイング中に加速させようとする余計な動きはご法度です。
アプローチショットは一番重いクラブのウェッジを使用するので、バックスイングで上方に上げた時のクラブの重さと、そこから落下する時のクラブのエネルギーを利用するようにコントロールすれば、無駄な力を使わずに打つことができます。
クラブが落下するエネルギーを使うので、スイングの振り幅は、一般的なレッスン内容ではなく、大きめのバックスイングでクラブを落下させて、今度は必要以上に加速しないように、小さめのフォローに抑えるような振り幅が理想的。
たとえば30ヤードなら、バックスイングが5で、フォローが3、という具合です。
このようにクラブの落下エネルギーをうまく利用するコツは、「 加速 」ではなく、逆に「 減速 」させるような感覚を持つことです。
クラブの落下エネルギーを「 減速 」させるようにしてコントロールすると、非常に正確にボールをフェースに乗せることができるようになります。
アプローチで加速させる問題点とは?
たとえば日本のプロゴルファーは、ほぼ全員がアプローチでも加速させるようにクラブをコントロールしています。
この点にどんな問題があるのか?
加速させるイメージしかないので、打ちたい距離に対してボールが必ず強く出ることになります。
つまり飛びすぎるのです。
それが嫌なので、ロフトの寝ているクラブを選び、それでも飛びすぎるので、今度はフェースを開きます。
これがプロゴルファーのアプローチショットの基本形です。
彼らはフェースを開くことを、ライへの対応とか、バウンスを使うためと言っていますが、その深層にあるのは、打ちたい距離に対して強く振りすぎていることが感覚では分かっているので、強く振っても距離感が合うようにするためにフェースを開いているはず。
それでも飛びすぎると思う時は、もっと加速させてフェースの上をボールが滑るようにコントロールする、つまりロブショットを打つことになります。
ところが加速させて強く振っているので、芸術的なコントロールができないと、ボールの勢いが強かったり、フェースの上を滑りすぎたりして、狙った通りのアプローチができません。
そもそもフェース面を開いてしまうと、スピンを効かせたいはずのフェース面の溝を斜めに使うことになるので、その効果は半減します。
フェース面の溝を誰よりも気にしているのに、実はその溝を有効に使っていないのがプロゴルファー。
これは大きな矛盾ですね。
プロゴルファーがアプローチで「 緩んだ! 」とよく言っていますが、それは本能が起こしている正しい反応なのです。
加速させていることで、打ちたい距離感よりも絶対に強く振っているのは本能が分かっているのに、その本能を押し殺すように、フェースを開いたりして対処していても、結局は本能が勝ってしまう、という例なのです。
あんなに上手で、毎日練習しているプロゴルファーでさえも、本能を押さえることは困難。
だからアマチュアゴルファーは、なおさら緩みまくってミスショットになるわけです。
加速させなければ全て解決する!
そこで考え方を全面的に変えて、アプローチショットでは「 減速させる 」と思えるならば、全てがよい方向に向かいます。
重いウェッジの落下エネルギーを、減速させるような意識を持ってコントロールすると、ふわりとボールがフェース面に乗るような感覚でコントロールできて、距離感もバッチリと合うようになります。
そのイメージは、ボールをアンダーハンドで目標にふわりと投げるような感覚。
ふわりと投げたい時は、加速ではなく、減速するように手を振るほうが簡単なはず。
そんなイメージで距離感を出して、クラブをコントロールすればOKです。
このような感覚を持てるなら、フェース面は開く必要がないので、溝の効果が最大限に発揮されて、非常によい感じでスピンが効いてくれます。
ハンドファーストではなく、シャフトが垂直になるようなハンドジャストのインパクトなら、ふわりとスピンの効いたボールは、ピタッとグリーンに止まります。
そして不思議なことに、加速させるよりも、減速させたほうが芝の抵抗が少ないので、気持ち良くクラブヘッドが抜けてくれます。
この打ち方を身につければ、けして大げさではなく、「 プロゴルファーのアプローチショットは、練習量が多いのにあまり上手くないな 」と思えるくらいになれますよ。
※ 注意点
ただしこの打ち方、グリップの握り方は「 ゆるゆる 」ではなく「 適度にしっかり 」が必要になります。
もしかしたら、「 ゆるゆる 」の握り方だからこそ、加速させないといけない…のかもしれませんね。
今回のまとめ
フルショットでは、「 フォローでヘッドを加速させる必要はない 」こと。
アプローチショットでは、むしろ「 ヘッドを減速させたい 」こと。
このような考え方とコントロール方法を身につければ、スイングは安定してくるので、ゴルフはどんどん簡単になっていきます。
「 フォローでヘッドを加速させる 」打ち方と、どちらが簡単なのかを、実際に試してみて下さい。