石川遼選手の覚醒を願って、【 その1 】ではスイング全体について説明しました。
今回は世界のトップクラスの選手との、アプローチショットとバンカーショットの違いについて説明します。
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世界のトッププロとはアプローチショットが違う
アプローチショットと言っても各種ありますが、まずはフルショット。
アプローチのフルショットの場合は、石川遼選手は従来のゴルフ理論通りの打ち方なので、基本的にやや鋭角にクラブヘッドを入れてボールをつぶすように打っています。
そのため、スピンが効きすぎてコントロールに苦労する場面があるように見えます。
この点は【 その1 】で説明したようなスイング改造が出来るなら、「 ふわり 」と落下するボールも打てるようになるので、バリエーションが広がってプラスになるはずです。
次にコントロールショット。
アプローチのコントロールショットで石川遼選手は、オープンスタンスに立ち、ハンドファーストでヘッドを鋭角に、なおかつ加速させるようにインパクトして、低い出球の「 ギュッギュッ 」と止まるボールを多用しています。
この打ち方は、多くの日本人選手も使っている打ち方です。
しかし最近の世界のトップクラスでは男女ともに、この打ち方を使っている選手はほとんどいません。
現在の世界の主流は、スクエアなスタンスで、ハンドジャストの緩い入射角から、ヘッドを加速させず、もしくは減速させるくらいのインパクトから、高い出球の「 ふわり 」としたボールでソフトに止まるボールを打っています。
低い出球から「 ギュッギュッ 」と止まるボールは、いかにもプロっぽくてアマチュアゴルファーも憧れる球質だと思いますが、グリーンの状態に左右されやすい事が欠点です。
その点、「 ふわり 」と飛び出し「 トントン 」と止まるボールは、グリーンの状態に影響されずに安定したコントロールが可能。
最後にロブショット。
ロブショットも石川遼選手は、ヘッドを加速させるようにしながら、ボールを切るようにスピンをかけていますが、その成功率は本人も満足していないと思います。
例えばロブショットの名手フィル・ミケルソン。イメージではヘッドを加速させてボールにスピンをかけまくっていると思われがちですが、実際にはヘッドを減速させて、フェースにボールを優しく乗せるようなロブショットも多用しています。
石川遼選手だけでなく多くの日本人選手は、アプローチでは「 緩む 」ことを嫌って、ヘッドを減速させる打ち方を使っていません。
しかし世界のトップクラスの選手は、微妙なアプローチではヘッドを減速させて、フェースに優しくボールを乗せるような打ち方を、状況によって使い分けています。
その違いが生まれる原因は、「 ゆるゆるグリップ 」にあるのではないでしょうか?
多くの日本人選手は従来のゴルフ理論の打ち方なので、フェースローテーションを多く使うために「 ゆるゆるグリップ 」が必要になります。
ところが、フェースローテーションを必要としない最新の打ち方では、「 ゆるゆるグリップ 」の必要がないので、ヘッドを減速させても「 緩む 」ことがないと思います。
バンカーショットにも大きな違いがある
バンカーショットの打ち方も、石川遼選手や日本人選手と、世界のトップクラスの選手では明らかな違いがあります。
石川遼選手のバンカーショットの打ち方は、ワイドスタンスで腰を低くして、オープンに構えてエクスプロージョンショット、すなわち砂の爆発と一緒にボールを飛ばすような打ち方です。
ピンが近くてすぐに止めたい場合は、さらに腰を落として薄く砂を切るようにヘッドを加速させてスピンをかけています。
ところが、この打ち方も最近の世界のトップクラスの選手はほとんど使っていません。
スタンス幅と腰の高さは通常のアプローチショットに近く、スタンスの向きもスクエアで、けしてオープンには構えません。
アプローチショットと同様に、ヘッドを加速させずに、等速度または減速させるようにヘッドをコントロール。
砂を爆発させると言うよりも、砂に優しくヘッドを滑らすようにしてボールを運んでいます。
間違いなくこの打ち方のほうが、砂質に左右されにくいので、コントロールが楽なのです。
そしてこの打ち方をやってみると、エクスプロージョンよりも驚くほど簡単にバンカーから脱出することが出来るので、皆さんも試してみて下さい。
このようにアプローチショットとバンカーショットでも、石川遼選手と世界のトップクラスの選手とでは明らかな違いがありますが、はたして石川遼選手はこの違いに気づいていないのでしょうか?
それとも、試してみたものの自分に合わなかったのか?
いずれにしても、これだけの違いがありながら、調子がよい時は世界のトップクラスとも互角のプレーが出来る石川遼選手。
もう一歩の進化があれば上位争いは十分可能。
今後の覚醒に期待しましょう。