
発売されて以降、多くの専門家からの高評価を受けて、好調に売れ続けているピンのG440シリーズのドライバー。
今回はその中でもG440 LSTを選択して、個人的に最強ドライバーと評価しているコブラのLTDx LSとの同時比較を行ってみました。
はたして専門家の評価は、忖度のない正しい発信だったのでしょうか!?
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確かに進化していたG440 LSTドライバー!
【 コースで飛んで曲がらない最強ドライバー!! 】で紹介したように、現在トータル性能で最強と思われるドライバーが、コブラのLTDx LSです。
飛距離性能、安定性、打感と操作性、いろんなシャフトとの相性のよさ、その性能を余すことなくコースで発揮できる点などで、ほぼ死角なしの素晴らしい完成度を誇っています。
今回はそのLTDx LSを基準として、発売以降現在も好調な販売が続いているピンのG440 LSTを同時に比較する機会があったので、そのインプレッションを紹介します。
ピン G440 LSTの本当の実力はいかに!?
■ ヘッドデータ
ヘッド : ピン G440 LST
ヘッド体積 : 450cc
ヘッド重量 : 202g
ロフト角 : 10.5°
■ シャフトデータ
シャフト : ピン TOUR 2.0 CHROME 65
フレックス : S
シャフト重量 : 60g
トルク : 4.2
■ クラブデータ
クラブ重量 : 310g
クラブ長さ : 45.25インチ
ヘッドバランス : D3
■ ピン G440 LSTについて
近年のピンのドライバーの評判としては、「 慣性モーメントが大きくて曲がりづらいけれど、飛距離性能と打感や操作性についてはイマイチ 」というのが、一般的な評価だったと思います。
新製品が発売されるたびに、いつも専門家からの評価がかなり高く、それを信じて購入するユーザーは多いのですが、その後に練習場やコースで観察していると、実際に使用を続けているユーザーは意外に少ないことが分かります。
つまり、買ってはみたものの、期待した性能は得られていないということ。
僕の奥さんもこれまでに、G425シリーズとG430シリーズの各モデルを試打していますが、「 飛ばないし、打感もイマイチ 」という評価が続いていたのです。
そんなピンのドライバーでしたが、メーカーもそのようなユーザーの正直な評価を感じていたようで、G440シリーズでは飛距離性能をかなり重視したと公言しています。
その成果なのか、今回のG440シリーズは発売されてからかなり期間が経っているのに、現在も好調な売れ行きが続いているようなのです。
そこでそのG440シリーズの性能は、はたして本当に進化しているのか、練習場でじっくりと試打をする機会があったので、その詳細を報告したいと思います。
■ 試打インプレッション
まず打ち出してすぐに感じるのは、飛距離性能は以前のピンよりも確実に上がっていて、他メーカーのドライバーと互角のレベルになっていること。
コブラ LTDx LSと比較しても、やや劣るレベルにまで改善されていて、これはヘッドスピード45m/sの友人も同様に感じたそうです。
スイートスポットの広さは、意外にもLTDx LSの方が広く感じると思います。
打感も今までは「 硬い弁当箱 」で打っているようなフィーリングだったものが、違和感のないレベルまで改善されていました。
弾道の高さは、G440 LSTの10.5°とLTDx LSの9°が同程度だと思います。
ピンは伝統的にタービュレーターという突起で空気抵抗の低減をアピールしていますが、同時比較してみると、LTDx LSの方が空気抵抗感は少なく、風切り音も小さく感じます。
ヘッド重量はG440 LSTの方が7g重いので、その分だけLTDx LSよりもシャフト重量を軽くした方がよいと思い、今回は、我が家のLTDx LSよりも5g軽いシャフトを選択しました。
このピン純正オプションのTOUR 2.0 CHROME 65は、某国内シャフトメーカー製らしいのですが、癖のない万人向けの素直な特性です。
以前にこのシャフトの前のモデルTOUR 173-65をG425シリーズで試打した時は、G425シリーズ全般的にヘッド剛性が硬かった影響で、もっと硬い棒のようなフィーリングだったのですが、G440シリーズではヘッド剛性が最適化されたこともあり、シャフトとのマッチングはかなりよくなっています。
この点については、【 ピン G425 MAX + 純正シャフトを独自にチューニング!! 】や、【 スライスに悩む友人が最新シャフトを試してみました!! 】も参考にして下さい。
ピンの最大のセールスポイントである慣性モーメントの大きさについてですが、「 重心ハンドブック 」によれば、G440 LSTが5130 g.cm²で、LTDx LSが4159 g.cm²と大きな差があり、確かにダウンスイングへ綺麗に切り返えすことができれば、その慣性モーメントの大きさによって、曲がりづらい安定性を感じることができると思います。
しかし何発も打っていると、切り返すタイミングがズレたり、スイング軌道が乱れたりする時がありますが、そんな時に途中で修正しようとしても大きな慣性モーメントが邪魔をして、逆に制御できずにボールは曲がってしまう現象が起こります。
一緒に試打をした友人はスイングの安定度が低いので、力まずに上手くダウンスイングできた時は「 これは曲がらない! 」と驚いていましたが、飛ばしたいと思って力んでダウンスイングが乱れた時には、とんでもないくらいボールは大きく曲がっていました。
その友人のエースドライバーは慣性モーメントが4000 g.cm²以下の操作性に優れる小型ヘッドのドライバーなので、もしスイング軌道が乱れた時は、ダウンスイング中に自分の感性でスイング軌道の乱れを修正して、なんとか自力でドライバーショットを安定させることが可能になっています。
ところが、そのスイング中の修正を許してくれない大慣性モーメントのG440 LSTは、逆に難しく感じてしまう場面が出てくるのです。
僕の奥さんはそこそこスイング軌道が安定していますが、それでもG440 LSTの慣性モーメントの大きさは邪魔に感じるし、もし「 フェード気味 」とか「 ドロー気味 」に打ち分けたくなっても、ヘッドの動き方が頑固なので、そのコントロールはとても難しいそうです。
このブログでは【 『慣性モーメント』が大きいと曲がらないって本当ですか!? 】などで、かなり以前からこの点についての問題提起をしていますが、はたして一般ユーザーの皆さんはどのように感じているのでしょうか?
今回のまとめ
好調な販売が続いているピンのG440 LSTを、コブラのLTDx LSとのガチンコの試打比較を行ってみました。
結論としては、近年のピンのドライバーの中では、飛距離性能と打感はかなり向上していることが分かりました。
問題となるのはその大慣性モーメントが、はたして皆さんにとって有効な武器になっているのかどうか。
その点に対する疑念は、今回も晴れることはありませんでした。
そんな中、国内女子のランキング1位となった佐久間朱莉選手のドライバーがG430 MAX 10Kというのは、逆に驚きです。
そのドライバーでいろんなコースで安定して飛ばせている佐久間朱莉選手は、スイング精度が凄いからこそ、その性能を最大限に発揮できているのではないでしょうか。
皆さんも自分のスイングの特徴と慣性モーメントの相性について、この機会に考えてみて下さい。
