久々に短尺ドライバーを製作したところ、とてもよい具合に仕上がり、ヘッドとシャフトを組み合わせるベストな法則についてかなり理解が深まったので、その詳細を報告します。
今回の内容を見てもらえれば、皆さんも短尺ドライバーへの興味が湧いてくると思うので、是非参考にして下さい。
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理想の短尺ドライバーを製作する法則を発見!
このブログではこれまでに【 短尺ドライバー 】の中で数々の短尺ドライバーを製作し、そのスペックも紹介してきました。
ただしこれまで製作したものは、旧モデルの小型ヘッドをベースにしたものが多く、必然的にそのヘッドはアスリート系モデルばかりになり、そして組み合わせるシャフトも少しハードな傾向でした。
しかし現在のドライバー市場は大型ヘッドが主流なので、最新の大型ヘッドでも短尺ドライバーを製作してみたいと思っていたところ、そのチャンスが訪れたので早速チャレンジしてみたのです。
今までの経験を基にして、多くのゴルファーに適合しそうなスペックが出来上がったので、その点に注目して下さい。
理想に近い短尺ドライバー、ローグ ST MAX US レディスヘッド + PT5 Rの詳細
■ ヘッドデータ
ヘッド : キャロウエイ ローグ ST MAX USモデル
ヘッド体積 : 460cc
ヘッド重量 : 200g
ロフト角 : 12°
■ シャフトデータ
シャフト : ツアーAD PT 5
フレックス : R
シャフト長さ : 43.875インチ
シャフト重量 : 53g (カット前)
トルク : 5.8
■ クラブデータ
クラブ重量 : 302g
ヘッドバランス : C4
● クラブ製作の過程
このドライバーは友人の奥様用のドライバーですが、【 素晴らしい反発力のドライバーが完成!! 】で紹介していたように、マニュアックな仕様をテストしたことがありました。
その時のシャフトを純正に戻して、その後はその友人の奥様や娘さんが使用していました。
ところが不注意にも純正シャフトを破損してしまい使用不能になってしまったので、僕が代わりのシャフトを探すことになったのです。
ただしこのドライバーはUSモデルの旧型なので、同じ純正シャフトを用意することは不可能です。
そこでどんなシャフトにしようかと悩んでいた時、【 短尺ドライバーをコースで実際に試してみました! その2 】の時に使用したシャフトが余っていることに気づきました。
短尺ドライバー製作の初期段階に試していたドライバーですが、その後にどんどんよい短尺ドライバーを製作できたので、ちょうどよい具合にシャフトがヘッドから外された状態で眠っていたのです。
このシャフトなら、一般女性でも頑張れば十分に振れるし、シャフトが短ければかなり万人向けに仕上がるかもしれないと思いました。
そこでそのシャフトの長さのまま、キャロウェイのスリーブを装着して、ローグ ST MAX US レディスヘッドと組み合わせたのです。
仕上がったデータを見ると、少しヘッドバランスが軽いことが気になりましたが、友人の奥様や娘さんが使用することを考えて、その点は妥協しました。
● インプレッション
まずはそのクラブを僕の奥さんと友人の男性が練習場で打ってみたところ、予想以上に素晴らしいボールを打つことができました。
さすがに自分のドライバーのように「 マン振り 」してしまうと少し暴れますが、丁寧に振ることを心掛けると、自分のドライバーよりも飛ぶかもしれない素晴らしい飛距離性能だったのです。
丁寧に振ることは意外に難しいものなのですが、ヘッドバランスがC4と軽めなことが幸いし、無駄な力みを抑えやすくなっています。
【 素晴らしい反発力のドライバーが完成!! 】の時は、もう少しハードなシャフトで長さも45.25インチだったので、ロフト角を11°に調整してもボールは吹け上がり気味でしたが、今回のシャフトはそれよりも少しアンダースペックながらシャフト長さがかなり短いので、12°でも吹け上がらない高弾道のボールを打てるようになりました。
この点に関しては、ヘッドスピード37m/sながらハードスペック好みの僕の奥さんと、ヘッドスピード44m/sくらいの友人の男性に共通しています。
そこでこのクラブを実際にラウンドでも試したのですが、そこで衝撃的な飛距離性能を発揮してくれたのです。
僕の奥さんと友人の男性に友人の女性も加えて3人でラウンドした時に、それぞれがラスト2ホールで連続して自分のドライバーと比較テストを行ったところ、なんと3人とも2ホール連続でこの短尺ドライバーの方が飛んでしまったのです!
● 驚異的な飛距離性能の秘密
この3人のベストスコアは、僕の奥さんが71、友人の男性が77、友人の女性も77なので、ラウンド中のドライバーショットはそこそこ安定しています。
つまり、3人とも自分のドライバーではそれなりの飛距離だったのに、それを2ホールとも上回ったというこの短尺ドライバーの素晴らしい飛距離性能と安定性に驚きました。
その秘密としては、① 短尺ドライバーの振りやすさ、② ヘッドとシャフトのマッチングにあると思うので、その点を説明します。
① 短尺ドライバーの打ちやすさ
短尺ドライバーが打ちやすいことは、これまでにも十分説明してきましたが、今回改めて分かったことは、最新の高慣性モーメントのドライバーヘッドは、予想以上に短尺化に向いているということです。
一般的には、高慣性モーメントのドライバーは打ちやすくて曲がらないとされていますが、実際にラウンドでヘッドスピード45m/s以下のアマチュアゴルファーが打つ場合は、その高慣性モーメントが動きを制御しすぎて邪魔になるだけで、少しでもコントロールがズレると修正が効かずに、逆に大きく曲がってしまう現象が多発します。
その点が、シャフトを短くすることによって慣性モーメントの数値自体は下がり、それでも安定性の高いヘッド特性は維持されるので、結果的には短尺化の操作性向上と安定したヘッド特性の組み合わせが実現することになるのです。
② ヘッドとシャフトのマッチング
これまでの経験で、ヘッドスピード45m/s以下の人が打つ場合は、最新のアスリートモデルは高初速化のためにボディ剛性が高くなりすぎていて、ヘッド全体の反発力が不足していることが分かっていました。
そこで我が家は【 遂に最強ドライバーをゲット!! 】で紹介したように、最適なボディ剛性のヨネックスのイーゾン GT425を選択して、一気に飛距離を伸ばすことに成功しています。
そのデータも参考にして、今回はもう少しボディ剛性の低いレディス用ヘッドと、もう少しアンダースペックのシャフトを組み合わせることによって、ヘッドの最適な反発力を狙ったのです。
たとえば今回のレディス用ローグ ST MAXはUS仕様なので、当時国内仕様には設定されていなかったスリーブ仕様であり、おそらく国内仕様のレディス用ローグ ST MAX FASTよりもボディ剛性は多少高くなっています。
しかしメンズ仕様のようにボディ剛性が高すぎることはなく、適度な範囲に収まっているのです。
つまりこのヘッドをヘッドスピード45m/s以下の人が打った場合、まるでヘッドスピード55m/s以上の人がメンズ仕様のローグ ST MAXを打った時のような素晴らしい反発力を引き出せる可能性があるわけです。
シャフトの選択は、少しボディ剛性の低いモデルに合わせるように、あまりハードにならないように気をつけます。
たとえば普段の自分のスペックよりもワンランク落として、重量が55g前後で、トクク4.5~6のR2~SRフレックスを選び、44~44.5インチに短尺化すると上手い具合に仕上がると思います。
グリップは48g~50gを選んで、クラブ総重量を300g~305gを目標にして、ヘッドバランスは少し軽めのC5前後が力みなく振れるので、好結果になると思います。
以上のように、① 短尺ドライバーの打ちやすさと、② ヘッドとシャフトのマッチングによって、素晴らしく打ちやすくて、抜群な飛距離性能のドライバーが出来上がりました。
打ちやすさ、振りやすさ、ミート率の向上、適度な慣性モーメント、適度なボディ剛性による反発力が組み合わされると、「 シャフトの長さが短いから飛ばない 」という常識を簡単に打ち破ることができたのです。
● ヘッドスピード45m/s以下向けの最新モデルのヘッド選択方法
ここからはヘッド選びについて、もう少し詳しく説明しましょう。
まずはスリーブ仕様が絶対条件になると思います。
たとえば今回はUSモデルのレディスヘッドでしたが、キャロウェイでもパラダイム Xとパラダイム Ai SMOKE MAX Dは国内仕様のレディスモデルにスリーブ仕様が用意されるようになりました。
テーラーメイドは各モデルのレディスヘッドにスリーブ仕様が用意されていますが、シム 2 MAX-Dのレディスヘッドは我が家でテスト済ですが、ボディ剛性が低すぎると思いました。
ピンのレディスモデルもボディ剛性が低すぎると思います。
コブラのエアロジェット MAXとキング LTDx MAXのレディス仕様はよい具合だと思います。
その他のメーカーのレディスヘッドはスリーブ仕様の設定がないし、ヘッド剛性が低すぎると思うので除外しましょう。
メンズモデルから選ぶ場合は、もちろんボディ剛性が高くないモデルを選ぶことになりますが、選択肢が多すぎて見つけ出すのが大変です。
たとえばステルス グローレ プラスのような、シニア向けのスリーブ仕様が有力候補に入ると思います。
ブリヂストンのB3 MAXとB3 MAX Dもそうですが、純正シャフトに40g台が用意されているモデルのボディ剛性は高すぎないはずなので、そんなモデルの中から探してみましょう。
( つまり、選択したヘッドに最初から装着されている40g台のシャフトは無駄になるわけです。)
※ ただし僕の奥さんのように、大型ヘッドが好みでない場合は、現状ではヨネックス イーゾーン GT 425の一択になると思います。
今回のまとめ
今回のように最適なボディ剛性とそれを生かせるシャフトを組み合わせることができれば、皆さんも素晴らしい性能の短尺ドライバーを製作することが可能です。
我が家も改めて短尺ドライバーの可能性を感じ、余計なシャフトの長さは必要ないことを再認識させられました。
長すぎるシャフトは、理論的にはヘットスピードが上がるかもしれませんが、ラウンドでの会心の当たりは少なく、そして大きく曲がるので、結果的にはヘッドスピードが上がることはありません。
ところが短尺ドライバーなら、確実に会心の当たりが増えて、もっと気持ちよく振り抜いていくことが可能になるのです。
コースでこそその実力を発揮する短尺ドライバーを、皆さんも試してみましょう!