石川遼選手が国内男子ツアーで、まさかの4戦連続予選落ちを喫しました。
これは日本のゴルフ界にとっても一大事です。
今シーズンはPGAツアーのシード権獲得に失敗しましたが、国内男子ツアーなら、例年通りに優勝争いが出来るものと期待していました。
ところが、おそらく本人もびっくりの大不調。
今回は、石川遼選手がここまでの不調に陥ってしまった原因について分析します。
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石川遼選手の不調の本当の理由とは!?
今シーズンの石川遼選手の不調ぶりは誰もが知るところでしたが、PGAツアーでは予選落ちが多かったので、そのスイングの状態をテレビ映像で確認出来る機会が少なくなっていました。
そんな中で、国内男子ツアー復帰初戦となった日本オープンゴルフ選手権。
久々にじっくり観察出来た石川遼選手のスイングは、想像以上に悪化していました。
その様子は、【 石川遼選手の現在の問題点とは!? 日本オープンのプレー内容に注目! 】で説明しています。
正直なところ、ゴルフサイトなどから得ていた情報では、もう少しよい状態をイメージしていたので、国内ツアー復帰早々でいきなり優勝してくれることを期待していました。
しかし実際に目にしたスイングでは、とても無理な期待だということがすぐに分かりました。
我々ゴルフファンが知っている、あの輝いていた石川遼選手はどこに行ってしまったのか!?
2007年に石川遼選手が彗星のごとく現れて以来、そのスイングの変化とコメントを追い続けてきた中で、思い当たるターニングポイントがあるので、その点について説明します。
なお今回の内容は、石川遼選手をウォッチし続けてきた経験を基にした、あくまでも僕の勝手な分析だということをご了承下さい。
ターニングポイントは2016年のワールドカップ
現在の石川遼選手のスイングは、非常にちぐはぐな物になっています。
その引き金になったと思われるのが、松山英樹選手とのペアで参戦した2016年11月のISPSハンダゴルフワールドカップです。
この大会で松山英樹選手と長期間一緒に過ごしたことで、松山英樹選手のスイングの完成度の高さを実感。
自分のスイングとの大きな違いは、フェースローテーションの仕方にあると感じたそうです。
フェースローテーションを全くしない松山英樹選手のぶ厚いインパクトと、強烈な飛距離に影響されるのは当然のこと。
そこでこの大会後に、石川遼選手は「 フェースローテーションを抑えるスイング 」への改造に着手しました。
結果的には、この判断が大間違いでした。
実はスイング改造をするまでの石川遼選手の調子は、それほど悪いものではありませんでした。
2016年はシーズン途中で、腰痛の療養のためPGAツアーから一時リタイヤ。
回復後に国内男子ツアーに復帰すると、優勝1回のほかに常に優勝争いを展開。
2017年のPGAツアー復帰初戦のCIMBクラシックでは、10位という好成績を収めていました。
ところがスイング改造後は一転して不調の連続。
シーズンが進んでも調子は上がらず、とうとうシーズン後半には「 フェースローテーションを抑えるスイング改造を断念する 」というニュースが入りました。
しかし「 元に戻した 」といっても、簡単には以前のようなスイングには戻らないものです。
もしかしたら、その時点でスイングが更に悪化していたのかもしれません。
【 ドライバーの短尺化が最後の切り札になるのか!? 石川遼選手のシード権獲得への戦い 】で説明したように、ドライバーの短尺化などの変化も加えたものの効果はなく、全く上位に進出できないままシーズンが終わりました。
そして国内男子ツアー復帰後は、まさかの4戦連続予選落ちが続いています。
結果的には、あの時スイング改造に着手しなければ…。
何故スイング改造に失敗したのか?
石川遼選手がスイング改造に失敗した理由は、スイング理論のミスマッチだと思います。
松山英樹選手とは根本的なスイング理論が大きく違っているのに、それに気づかずに、その一部分だけを真似してしまったことが失敗の原因なのです。
石川遼選手の目指した「 フェースローテーションを抑える 」という目的を達成するためには、スイング全体を変えなければならなかったのです。
『石川遼選手のスイング』
石川遼選手のスイングは、日本のゴルフレッスンの主流になっている、従来からのゴルフ理論に基づいているスイングです。
① 下半身リードでトップから切り返す。
② 左に大きく体重移動。
③ ダウンスイングでタメを作る。
④ ハンドファーストでダウンブローのインパクト。
この4点セットを全て忠実に実行しています。
『松山英樹選手のスイング』
ところが松山英樹選手のスイングは、この4点セットを全て行わないという、世界の最先端のスイング理論なのです。
① 下半身の回転に遅れないようにトップから切り返す。
② 左に荷重が移動しないようにスイング軸を保つ。
③ ダウンスイングでタメを作らないように、早いタイミングからクラブを回転させる。
④ 緩い入射角のスイング軌道を作り、アドレス通りのハンドジャストでインパクト。
まるでゴルフロボットのようなこのスイング。
石川遼選手とは真逆と言えるスイング理論なのです。
このスイング理論によって、クラブのフェース面が早いタイミングでボールの方向を向くことで、フェースローテーションを行う必要がないので、力強くぶ厚いインパクトを実現しています。
● 石川遼選手のスイングの問題点
一方の石川遼選手のスイングでは、下半身を先行させている間はクラブは回転運動をしていません。
左に体重移動している間もクラブは回転運動をしていません。
このようにクラブが回転運動を始めるタイミングが遅れることで、結果的にダウンスイングでタメができている形になっています。
しかし…それはつまり、クラブヘッドが振り遅れている状態なのです。
振り遅れの状態になっていることで、フェース面をスクエアに戻すタイミングも遅れてしまうので、その遅れを取り戻すために強烈なフェースローテーションが必要になります。
そして、スイング軸が大きく左に移動しているので、インパクト時のグリップ位置が、アドレスの時よりも当然左に移動した状態になります。
その結果としての形が、ハンドファーストというインパクトの形。
ここまでの全体の動き方では、クラブヘッドの入射角は鋭角にしか入れられないので、必然的にダウンブローというスイング軌道になっています。
これが従来のスイング理論の全体の流れです。
もう一度整理すると、下半身リードと左への体重移動を意識するスイングでは、ダウンスイングのタメとハンドファーストのダウンブローは、必然的にセットとして加えられることになります。
つまり、 石川遼選手のスイング理論にとっては、フェースローテーションは必要不可欠な動き方。
● スイング改造はミスマッチ
その石川遼選手がフェースローテーションを抑えるスイングを成立させるためには、せめて下半身リードか、左への体重移動のどちらかを止める必要がありました。
それなのに、そのスイング理論を変えないまま、全く対極と言える松山英樹選手のスイング理論の中の一部分だけを真似しても、スイング全体が成り立たないのは仕方ありません。
フェース面は当然のように戻らなくなるので、普通にスイングすると必ずプッシュアウト。
それを嫌ってボールを捕まえようとすれば、クラブヘッドを無理やり巻き込むような動きになってフックボールになります。
これでは調子を崩すのは当然でしょう。
今回は、石川遼選手のまさかの大不調の原因を分析しました。
引き続き【 石川遼選手が復活するためには!? そして、不調の原因から学べることは? 】にて、その分析を続けますので、そちらもご覧下さい。