ここまでの2回の【 バンカーショットが難しいのは理由がある! その理由を理解して対処法を考えましょう 】と【 バンカーショットを簡単にする方法は従来の打ち方を忘れること! 】で、従来のバンカーショットの打ち方は難しいだけでなく、アマチュアゴルファーにとってはあまり適した打ち方ではないことを説明してきました。
引き続き今回は、バンカーショットをもっと簡単にするために、具体的な打ち方の説明になります。
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簡単なバンカーショットの打ち方
その打ち方は、【 簡単なアプローチショットの打ち方 コントロールショット編 】で説明した打ち方と基本的に同じであり、現在の世界のトップクラスの選手達が多用している打ち方です。
ところが日本はなぜか世界の流れとは違い、ほとんどの日本人選手は従来通りの打ち方をしています。
その理由を分析した結果、日本人選手が国内でプレーしているバンカーの状態がよすぎるからだと仮定。
その仮定通りなら、アマチュアゴルファーがラウンドで利用するコースは、プロのトーナメントよりもバンカーの状態があまり良くないので、プロが推奨する従来の打ち方ではなく、これから説明するバンカーショットの打ち方を試したほうが簡単になると思います。
それでは具体的に打ち方を説明します。
セットアップ
スタンス➔
基本的にはスクエアスタンスです。
多少のオープン、または多少のクローズドでも本人が振りやすいのならOKです。
クラブの構え方 ➔ クラブのフェース面もスクエアにセット。
フェース面をうまく戻せる自信があるなら、多少開いてもよいでしょう。
グリップ位置は身体のセンターで「 ハンドジャスト 」にセット。
「 ゆるゆるグリップ 」は止めて、適度なグリップ圧をかけて下さい。
コックを使う意識は不要です。
身体の構え方 ➔ 「 バンカーショットは腰を落とせ 」と言う人がいますが、アマチュアゴルファーは腰を落とすと、身体がうまく動かなくなる傾向があるので、逆に腰の位置を高めにしながら、自分が安定してスイングしやすい状態にしましょう。
精度よく砂にヘッドを入れるためには、膝を伸ばし気味にしたほうが効果的です。
ボール位置 ➔ ボールはスタンスの中央、好みで多少移動しても問題ありません。
荷重配分 ➔ 「 バンカーショットは体重を左足寄りに… 」というのが一般的ですが、体重を移動させずにスイング軸を保てるなら、左足体重でも、センター軸体重でも、右足体重でもかまいません。
自分がスイングしやすい荷重配分の状態をキープしましょう。
ただし、多くのアマチュアゴルファーの身体の動き方を分析してみると、プロが推奨している左足体重はあまりお勧めしません。
確かにプロゴルファーは、左足体重をキープしたままバンカーショットをうまく打てていますが、多くのアマチュアゴルファーは股関節の使い方が下手なので、左足体重を意識すると身体がスムーズに動かなくなる傾向が見られます。
そんな人は、センター軸を保つようにスイングしてみて下さい。
スイング
スイングの振り幅➔
自分がバンカーから打ちたい距離に対して、2~3倍の距離感に相当する振り幅を基本に考えましょう。
例えばグリーンの真ん中までの20ヤードを飛ばしたい場合なら、サンドウェッジでアプローチをする時の40~60ヤードに相当する振り幅でスイングします。
砂を薄めに取れる自信のある人は2倍でも大丈夫ですが、ボールの下に厚めにヘッドが入りやすい人は3倍のほうがよいでしょう。
それなりの自信がつくまでは、ガードバンカーからボールを飛ばす距離は、最大でもグリーンセンターまでの距離、つまり20ヤード以内にしておいたほうが、無難だと思います。
体重移動 ➔ バンカーショットに体重移動は禁物です。
体重移動を抑えられれば、バンカーショットは飛躍的に簡単になります。
腰を動かさない ➔ 下半身を先行させる動きは禁物です。
いろんなスイングパターンでミスの原因になっているのが、実は下半身が先行する動き。
下半身を先行させないように、「 ヘソ 」から上の動きだけでスイングすれば、大幅に精度が上がります。
スイングスピード ➔ ヘッドを加速させてはいけません。等速もしくは減速させるくらいに、ヘッドの重さとクラブの遠心力をマッチさせて、力まずにスムーズにヘッドをコントロールして下さい。
ほとんどの日本人選手は「 ヘッドを加速させろ! 」の一辺倒ですが、スイング中に加速させるような意識は、ヘッドのコントロールを乱す原因になります。
例えばよい例が、宮里藍選手のバンカーショットです。
当たり前のようにスクエアスタンスの構えから、ヘッドが落下する勢いをうまく使って、全く力感のないスイングなのに、ボールは綺麗に狙った距離を飛んでいきます。
日本人選手としては非常に珍しい打ち方ですが、世界ではあのような打ち方が常識になっています。
ヘッドの入射角 ➔ 入射角が緩やかになるように意識して下さい。
体重移動をせずにスイング軸を保って、ヘッドに大きな回転運動を与えるようにスイング出来れば、自然に入射角は緩やかになります。
ヘッドに大きな回転運動を与えるコツは、左の肩甲骨からスイングを始動するように意識すること。
別の考え方としては、バンカーショットはフルショットするものではないので、腕力に自信のある人は、下半身の動きを全く使わずに、肩甲骨の動きも意識せずに、完全なる「 手打ち 」の感覚を持ったほうがうまくいく場合もあります。
腕力に自信のある人なら、試してみる価値はあります。
ボールの捉え方 ➔ 緩い入射角から、ボールの下の砂を薄皮一枚分さらうようなイメージで、ヘッドをコントロールして下さい。
けっして砂にバウンスから鋭角に打ち込むようなイメージは持たないようにしましょう。
「 バシッ 」と打つのではなく、「 シュパ~ 」とボールの下の砂にソールを滑らすイメージでOKなのです。
打ち方のまとめ
スクエアスタンスで各自に適した安定したアドレスを作る。
➔ ボールをセンターに、グリップ位置もセンターにして、フェース面をスクエアにセットする。
➔ 下半身の上下動と体重移動を抑えて、「ヘソ」よりも上の身体の動きで回転軸を作る。
➔ クラブヘッドを綺麗に回転運動を与えるようにスイング。
➔ 緩い入射角でボールの下の砂を薄くさらうようなイメージでヘッドをコントロール。
➔ 飛ばしたい距離の2~3倍の振り幅でスイングする。
以上が、簡単なバンカーショットの打ち方です。
変な緊張感や力みは不要で、アプローチショットをする感覚でリラックスしてヘッドをコントロールして下さい。
この打ち方なら、ダフリ過ぎない限り、多少アゴの高いバンカーでも確実に脱出することが出来ます。
世界のトッププロ達のバンカーショットを見ていて感じることは、本来はこの打ち方をバンカーショットの基本にするべきだったのではないか?ということです。
バンカーショットに限らずあらゆるショットにおいても、日本のゴルフレッスンでアマチュアゴルファーに教えている内容は基本編ではなく、応用編と言えるような変則的なものばかりで、本来の基本とするべきシンプルな打ち方ではないと感じています。
だから日本のゴルフは難しい。
これからも世界のトップ選手のプレーを分析して、アマチュアゴルファーにとって、もっと簡単にシンプルにスイング出来る方法を紹介していく予定です。
このバンカーショットに関して次回は、【 バンカーショットの注意点 打ち方のお手本になる選手を紹介します 】を説明します。