アマチュアゴルファーがなかなか上達できないのは、『 下半身リード 』というゴルフ理論が大きく影響していると思います。
それなのに『 下半身リード 』というゴルフ理論は、ゴルフレッスンの王道とも言えるほどの基本中の基本とされているものですね。
その基本となるものが、逆にゴルフを難しくしているとなると、誰にとっても簡単に上達できるはずがありません。
今回はその点について、トッププロのスイングを参考にして、どのように対処すべきかを学んでみましょう。
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『下半身リード』とのつき合い方を考える
多くのゴルファーのスイングを分析すると、そのスイングが複雑で難しくなってしまうのは、上半身よりも早く、そして大きく動いてしまう下半身の動き方が原因になっています。
この下半身の動きを抑制するようにコントロールできれば、上半身はもっとシンプルに動けるので、ゴルフ自体がどんどん簡単になっていきます。
ところが一般的なゴルフレッスンでは、『 下半身リード 』が絶対条件と言わんばかりに強調されているので、下半身は積極的に動かさなければいけないものと思っているゴルファーが多いのではないでしょうか。
そして、正しい下半身の使い方を理解できていないゴルファーが多いように見えます。
その結果、下半身を正しく使えないので、無駄に早く、そして大きく動くことになり、それによってスイングがとても複雑になってしまうのです。
『下半身リード』の真実をプロから学ぶ!
そこで、『 下半身リード 』について正しく理解するために、プロゴルファーのスイングから正しい動き方と対処法を学んでみましょう。
今回参考にするのは、『 下半身リード 』でスイングしている代表例と言える原英莉花選手と、その対極として、『 下半身リード 』の動きを抑えている代表例の松山英樹選手です。
■ 写真と動画でイメージする
おそらくですが、ほとんどのプロゴロファーは、自分の感覚の中では、『 下半身リード 』の意識を持ってスイングしているのではないでしょうか。
そしてプロゴルファーは、たとえ『 下半身リード 』の意識を持っていたとしても、スイングがカット軌道にならないように、2つのタイプに分かれて対処しているように見えます。
1つ目は、下半身が大きく先行してもカット軌道にならないように、極端にイン側からクラブヘッドを下ろすこと。
2つ目は、下半身の動きに遅れないタイミングでクラブヘッドを下ろすこと。
その実例を確認してみましょう。
まず1つ目の例は、原英莉花選手です。
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2つ目の例は、その対極とも言えるスイングの松山英樹選手です。
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二人のトップスイングの形は、見た目では非常に似ていますね。
そして皆さんも、このようなトップの形は簡単に作れるはずです。
ところが問題になるのは、そこからダウンスイングに入る瞬間の対処の仕方なのです。
その違いが、全体の難易度を大きく変えることになります。
それでは、二人のスイングのスロー動画を見て下さい。
【 原英莉花選手のスロー動画 】
【 松山英樹選手のスロー動画 】
まずは原英莉花選手のスイングです。
ダウンスイング開始ともに、「 クイッ 」と下半身が左に回転するように動き、ワンテンポ遅れるように手元とクラブヘッドが動き始めますが、そのまま自然な形でダウンスイングに入るのではなく、「 グッ 」と右足が沈み込むとともに、手元とクラブヘッドがイン側に低く倒れるように動き出している点に注目して下さい。
凄いスイングですね。
まさに『 下半身リード 』のお手本と言えるスイング。
ここまで大きく下半身を先行させているのに、手元とクラブヘッドがその場にとどまっていて、アウト側 ( 前側 ) に引っ張られていない点は見事なものです。
注意すべき点は、ここまで大きく下半身を先行させるスイングだと、この動画のような凄い対処をしないかぎりは、【 ゴルフを簡単にする通り道! 】で説明している『 正しいクラブの通り道 』に乗せることはできないのです。
普通の感覚でダウンスイングへ切り返してしまうと、【 なぜコースでは練習場のようにうまく打てないのか? 】でも説明したように、間違いなく大きなカット軌道になってしまいます。
しかしこんな凄いスイングを可能にするためには、原英莉花選手のような若さによる柔軟性と、子供の頃からゴルフ一筋に打ち込んできたからこその凄い技が必要なのです。
多くのゴルファーのように、30~40歳くらいでゴルフを始めた人にとっては、極めて難しい、というよりも到底無理な動き方だと思います。
そしてこの凄いスイング、当の原英莉花選手本人であっても、はたして10年後にも可能なのかと思ってしまうほどのハイレベルなもの。
そして実は身体の負担が大きいので、原英莉花選手もこの若さで腰痛に苦しんでいて、とても心配です。
それなのに一般的なゴルフレッスンでは、このような『 下半身リード 』の動きがお手本とされていて、それによって作られる下半身と上半身の捻転差の大きさが飛距離アップの秘訣だとして、皆さんに対して強く推奨しています。
さて皆さん、本当に自分にもこのような凄い動きができると思いますか?
それでは、その対極と言える松山英樹選手のスイングを見て下さい。
動画の中の2分30秒辺りです。
( 動画の中の解説の内容を聴くと混乱するかもしれないので、音量はカットしてご覧ください。)
下半身の動き出しに遅れずに、手元とクラブヘッドも動き出していますね。
このようなタイミングでダウンスイングに入れるならば、振り遅れを防ぎながら、『 正しいクラブの通り道 』に乗せることが可能になります。
ちなみに松山英樹選手は、基本的にはフェードヒッターなので、スイングを後方から見ると、ダウンスイングの途中でシャフトが地平線と水平になる地点では、太腿よりも少し前側をクラブヘッドが通ります。
この松山英樹選手のようなスイングを見本にして、このままヘッドスピードを落としたイメージならば、皆さんも十分に真似ができると思いませんか?
それほどに、下半身を大きく先行させなければ、スイングはシンプルに変わってしまうのです。
松山英樹選手も、ダウンスイングに動き出す時には、手元とクラブヘッドがアウト側 ( 前側 ) に動かないように注意しているはずですが、原英莉花選手のような凄い操作は必要ありません。
ダウンスイング途中の腕の動きも、原英莉花選手は右肘が右わき腹に突き刺さるくらいに窮屈に動かさなければなりませんが、松山英樹選手の腕は窮屈感がないゆとりのある動きです。
このようにプロゴルファーの中には、原英莉花選手のように下半身の動きが大きく先行しても、カット軌道にならないように対処している選手がいる一方で、松山英樹選手のように下半身の動きに遅れずに、下半身と手元が同時にダウンスイングへ切り返している選手が増えています。
どちらが簡単なのかと言うと、それはもちろん特別な身体の柔軟性を必要とせずに、全体がシンプルな松山英樹選手のような動き方ですね。
下半身の動きが先行しないうちに、もっと早いタイミングでダウンスイングへの切り返しを始めれば、スイング全体は飛躍的にシンプルになり、極端にイン側から切り返さなくても、カット軌道を防ぐことができるのです。
その動き方をつかむためには、一旦自分の中から『 下半身リード 』という文言を忘れてしまうことも必要なのだと思います。
今回のまとめ
実は皆さんの上達の妨げになっているのは、ゴルフレッスンのセオリーとなっている『 下半身リード 』というゴルフ理論だったのです。
今回の説明でも分かるように、「 下半身が大きく先行するスイング 」こそが、皆さんのゴルフを難しくしています。
それでも「 下半身リードで切り返して、捻転差を大きくして飛距離を伸ばす 」というスイングを目指したい場合は、原英莉花選手のような凄いスイングをしないかぎりは、コースではいつまで経ってもカット軌道と戦うことになりますよ。
その点をしっかりと認識して、どちらのスイングを目指すべきなのか、じっくりと考えてみましょう。
そして結論としては、このブログでは開設当初から松山英樹選手のスイングを推奨しているように、下半身を先行させずに、そしてその動きを抑えるようにスイングしたほうがよいと思います。
松山英樹選手を見れば、けして下半身を大きく先行させる必要はなく、飛距離アップにも過剰な捻転差は必要ないことも明白なのです。