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スイングタイプの違いとは!? ブルックス・ケプカ選手、松山英樹選手、石川遼選手を比較

ダンロップフェニックストーナメント

でブルックス・ケプカ選手が2連覇を達成!

さすが全米オープンの優勝者らしい実力を見せつけてくれました。

そこで今回は、そのブルックス・ケプカ選手のスイングの特徴を、ライバルである松山英樹選手、そしてスイング改造に苦しむ石川遼選手と比較しながら説明します。

アマチュアゴルファーにも参考になるポイントが多いと思うので、是非ご覧ください。

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世界屈指のパワーヒッター、ブルックス・ケプカ選手とは

世界ランク7位のブルックス・ケプカ選手は27歳。

2015年のウェイストマネジメント フェニックスオープンと2017年の全米オープンの優勝では、どちらも2位が松山英樹選手という因縁を持っています。

世界ランク5位で25歳の松山英樹選手とは、まさに身近なライバルと言えるでしょう。

そのブルックス・ケプカ選手のプレーの特徴は、なんと言ってもその飛距離。

185cmのガッシリとした体格から、ヘッドスピード約55m/sで放たれるボールのキャリーは、コンスタントに300ヤード前後!

対する松山英樹選手は181cm、ヘッドスピードが約53m/sでキャリーが290ヤード前後。

石川遼選手は175cm、ヘッドスピードが約50m/sでキャリーが280ヤード前後。

この3人は身長差に比例するように、身体全体の筋肉量にも差があるので、ヘッドスピードとボールのキャリーも、体格の差が大きく影響しているようなデータになっています。

つまりこの3人にとっては、スイングタイプの違いは飛距離にはあまり影響がないと言えるでしょう。

あくまでも、「 パワーの差 」が大きかったようです。

そこでスイングタイプの違いによって表れるのは、飛距離よりもその精度と安定性になると思います。

その点をじっくりと分析してみましょう。

今回のフェニックスカントリークラブは、全ホールが林にセパレートされていて、300ヤードも飛ばす選手にはかなり狭く感じることでしょう。

そこでこのコースを制するためには、飛んで曲がらないボールが必要。

歴代の優勝者の顔ぶれも、飛んで曲がらないタイプの選手がズラリと並んでいます。

そのコースで2連勝のブルックス・ケプカ選手と、2014年に優勝している松山英樹選手は、勿論飛んで曲がらないスイングと言えるでしょう。

 

ブルックス・ケプカ選手のスイング分析

① アドレス~トップ

安定感のあるアドレスからトップまでのバックスイングでは、身体も頭も全く右に移動しない動きになっています。

ボールの位置は、ほぼセンターに近い位置です。

 

② ダウンスイング

特徴的なのはトップからの切り返し。

下半身の動きを若干先行させていますが、腰は回転させずに、左にスライドさせるように下半身が動いています。

日本の一般的なゴルフレッスンの内容では、下半身リードと言われる動き方は、腰の回転を先行させる動き方ですが、ブルックス・ケプカ選手の場合は、腰の回転ではなく、左にスライドするように体重移動だけを行っています。

この動き方を、下半身リードと呼ぶのか、体重移動と呼ぶのかは、その人それぞれでしょう。

腰の移動量は、アドレスからトップまでは0cm、トップからインパクトまでは10~20cmくらいになっています。

腰を左に移動している間は、上半身はクラブを回転させずに下ろすだけの動きになっていて、この動き方によって腕とクラブの関係性に「 タメ 」を作っています。

腰の移動が終わるタイミングで、「 タメ 」をほどいてクラブをリリース。

この辺りの動き方は、プロコーチ達が大好きな動き方だと思います。

 

※ 注意点 1

ブルックス・ケプカ選手は確かに「 タメ 」が出来ていますが、見落としてはいけないポイントが、185cmという身長です。

平均的な日本人選手と比較すると、10cm以上も身長が高いので、同じような形で「 タメ 」を作って、そこからクラブをリリースする場合でも、ボールまでの距離がその分だけ長く取れるのです。

つまり、インパクトまでにフェース面をスクエアに戻すための余裕があるということ。

この余裕があるので、日本人選手よりもアームローテーション、またはフェースローテーションの動きが少なくて済むので、ぶ厚いインパクトを作れています。

※注意点 2

2018年の途中から、ブルックス・ケプカ選手のスイングが少し変わりました。

ダウンスイングで腰が左に移動する動きが少なくなり、体重移動を抑えて回転力を高めるスイングに変わっています。

つまり、松山英樹選手のスイングに近づいたことになります。

 

③ インパクト

頭の位置はアドレスのまま、腰の位置は10~20cm左に移動しているので、インパクトの形はまさしく「 ビハインド・ザ・ボール 」と呼ばれる形になっていて、ここでもプロコーチ達が大好きな形が出来上がっています。

インパクトのグリップ位置は、腰がスライドしている分だけ若干左に移動していて、ハンドファースト気味になっていますが、身長が高い分だけスイングアークが大きくなっているので、クラブヘッドの軌道は鋭角にはなっていません。

 

④ フォロー

今回説明する3人の選手のインパクト以降の動き方は、それぞれがインパクトまでのスイングの成り行きに任せるような動き方がうまく出来上がっているので、今回はフォローの動きはあえて説明しません。

 

松山英樹選手のスイング分析

松山英樹選手のスイング分析は、【 まるでゴルフロボット! 松山英樹選手のスイング解説 その1 】と、【 松山英樹選手のスイングをアマチュアゴルファーが目指すためのコツ その1 】で詳しく説明しているので、今回は簡単に…。

スイング改造中ということですが、見た目には分からないような変化の中での改造のようです。

 

① アドレス~トップ

ブルックス・ケプカ選手とほぼ同じと言ってもよいくらいの、どっしりとしたバランスのよいアドレスです。

ボールの位置も、ブルックス・ケプカ選手と同様にほぼセンター。

トップまでは頭も身体も全く右に移動していません。

 

② ダウンスイング

松山英樹選手が他の選手と最も大きく違う点がダウンスイングです。

トップからの切り返しで、すぐにクラブに回転運動を与えています。

多くの選手は、トップからダウンスイングの途中までは、クラブを回転させずに下ろすだけ。

つまりその動きが「 タメ 」という動き方です。

ところが松山英樹選手は、トップからの切り返しの瞬間からクラブを回転させているので、全く「 タメ 」が出来ていません。

このブログではその動き方を、ハイポイントリリースと勝手に呼んでいます。

そしてこの動き方は、一般的なゴルフレッスンでは「 NGな動き方 」として説明されているのです。

それなのに松山英樹選手以外にも、ジョーダン・スピース選手やジェイソン・デイ選手など世界のトップクラスの選手は、「 タメ 」を作らないスイングが主流になってきているという面白い現象が起きています。

 

※ 重要ポイント

この「 タメ 」を作らないハイポインリリースの動き方が、クラブに大きな回転運動を与えて、フェース面を早くスクエアに戻せる秘訣になっています。

そしてこの動き方を作るためには、ダウンスイングで下半身を先行させずに、左への体重移動も抑えることが必要です。

トップからインパクトまでの腰が左に移動する量は、5~10cm程度に抑えられています。

このように移動量を少なく抑えることは、体重移動を全くしない意識を持たないと実現出来ません。

つまり、一般的なゴルフレッスンの内容とは、全く逆と言ってもよいくらいの動き方の差があるのです。

 

③ インパクト

全く左右に身体が移動していないので、見事なほどにアドレス通りの形でインパクトをしています。

まさにゴルフロボットと言える究極のインパクト。

この形を作れるので、再現性の高いスイングが出来るのです。

 

石川遼選手のスイング分析

ここまで5戦連続予選落ちを続けていた石川遼選手がようやく予選通過。

改造中のスイングはどのような状態なのか?

 

① アドレス~トップ

アドレスは以前よりも安定感が増しています。

ボールの位置も以前よりもセンター寄りになっていて、世界のトレンドに近い状態。

トップまでの動き方も、松山英樹選手やブルックス・ケプカ選手のように、全く右には移動していません。

このパートは以前よりも非常によくなったと思います。

 

② ダウンスイング

問題なのはこのパートです。

トップからの切り返しで、腰の回転が先行すると同時に、左に20~30cmも移動しています。

腰が回転しながら左に移動している間は、クラブに回転運動を与えることが出来ないので、クラブを下ろすだけの動きになり、結果的に「 タメ 」が出来ることになります。

そしておそらく本人は、自分で「 タメ 」を作っている意識はないと思います。

 

※ 注意点

一見するとブルックス・ケプカ選手と同じような「 タメ 」を作る形ですが、大きく違う点があります。

それは石川遼選手のほうが、ダウンスイングの軌道がイン側から下りていることです。

二人のスイングを後ろ側から見ると、どちらもスイングプレーンに乗っているのに、石川遼選手のほうがイン側から下りているとは、どういうことなのか?

この点の認識が非常に重要です。

石川遼選手のトップからの切り返しは、腰の回転が先行しすぎているので、実際にクラブを下ろすタイミングでは、すでに上半身の向きも左を向き始めているのです。

その状態のままダウンスイングを開始すると、左を向いた上半身に引っ張られて、必ずカット軌道になります。

ところが石川遼選手はドローヒッターなので、カット軌道はご法度ですね。

そこでカット軌道を避けるために、バックスイングで上げてきたスイング軌道を、ダウンスイングの切り返しの瞬間に、イン側にループさせているのです。

本人の意識によるものなのか、無意識なのかは分かりませんが、このイン側にループさせることで、ダウンスイングの見た目の上では、スイングプレーンに乗せることが出来ています。

しかし上半身との連動性では、クラブがイン側から入りすぎるので、ダウンスイングの途中で腕の動きが窮屈になり、アームローテーションの量も多くなってしまいます。

この腕の動きが窮屈になる動き方、一般的なゴルフレッスンでは、「 右脇を締めて、肘がわき腹の近くを通るようにしなさい。」と説明されていますが、実はそんな動き方は必要ありません。

 

その点ブルックス・ケプカ選手の場合は、腰の回転は先行させていないので、同じような「 タメ 」が出来ているにもかかわらず、腕の動きには窮屈感はなく、アームローテーションも少なくて済んでいます。

この差が非常に重要なポイント。

 

③ インパクト

ここまでのダウンスイングの動き方によって、アドレスよりも腰の位置は大きく移動していて、腰の向きも左を向いています。

さらにグリップの位置も、10cmほども左に流れています。

頭の位置だけは頑張ってアドレス状態をキープしていますが、インパクトの形はアドレスとは全く違う形になっています。

これでは再現性が低いだけでなく、頭の軸と腰の軸に大きな左右差が出るので、身体を痛める可能性も大。

石川遼選手のコメントからは、毎回多くの注意点が聞こえてきますが、松山英樹選手のスイングと比較すれば、注意点が多くなるのは当たり前。

それだけ難しい複雑なスイングをしているのです。

 

※ 改善すべきポイント

非常にスイングを複雑にしている石川遼選手ですが、トップからの切り返しで腰の回転を先行させなければ、ブルックス・ケプカ選手に近いスイングタイプになります。

もし腰の回転が先行する動きが直せないなら、せめて腰を左に移動することを止めるべきです。

どちらかを止めるだけで、飛躍的にスイングがシンプルになります。

石川遼選手のスイングを複雑にしている動き方は、つまり「 下半身リード 」と「 左への体重移動 」として、ゴルフレッスンでは必ずと言ってよいほど2つセットで指導されています。

石川遼選手もその理論の実践者。

ところが実は、その2つがゴルフを難しくしている大きな理由なのです。

その点に気づけるか否かで、ゴルフの難しさが全く変わってきます。

 

最後に…

今回は、ブルックス・ケプカ選手、松山英樹選手、石川遼選手の3人のスイングの違いを説明してきました。

今回の大会ではブルックス・ケプカ選手に敗れた松山英樹選手ですが、スイングの完成度と安定性では少し勝っていると思います。

残す課題は、体格による飛距離の差は仕方ないとしても、アプローチとパッティングに関しては改善の余地があるでしょう。

その点を改善すれば、まだまだ続く二人のライバル関係にも打ち勝って、メジャー制覇と世界ランクトップに近づけることでしょう。

問題なのは石川遼選手。

現在のように「 下半身リード 」と「 左への体重移動 」の2点セットを続けていては、たとえ調子がよくても、その調子を4日間続けることは困難です。

もっと簡単なゴルフに気づいて欲しいと思います。

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