ゴルフクラブのチューニング方法に、『 鉛を貼る方法 』があることは皆さんもご存知ですね。。
その鉛の貼り方は、スライスを防ぐには…、弾道を高くするには…と目的別に決まった場所があり、どの情報を見ても同じ内容が紹介されています。
ところが…実はアマチュアゴルファーにとっては、その貼り方は正しくない場合が多かったのです。
そこで今回は、アマチュアゴルファーにとって、正しい鉛の貼り方を見つける方法を説明します。
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一般的な鉛の貼り方が合わない理由
皆さんの中にも実際に鉛を貼って調整している人がいると思いますが、狙い通りの効果が上がっていますか?
いろんな情報で鉛の貼り方を調べると、その手法は皆同じ。
ところがその通りに貼ってみても、期待通りの効果はなかなか得られないものです。
それはなぜなのか?
その理由は大きく分けると、次の4点が考えられます。
① ゴルフクラブの特徴が多彩すぎる
現代のゴルフクラブのヘッドは、それぞれが狙いを絞った特徴を持っていて、スライスしないようにつかまりやすくとか、ボールが上がりやすくなるようにとか、すでに設計の段階から平均的な値よりも突出するような数値が与えられているクラブが多くなっています。
シャフトにも同じことが言えるでしょう。
そのようにして出来上がったクラブは、もしプロゴルファーがそのクラブを打つならば、必ずその狙い通りの特徴を発揮するようになっています。
ところがアマチュアゴルファーの場合は、そんなに話は簡単ではありません。
例えば、スライスしないはずのヘッドとシャフトを組み合わせても、やっぱりスライスしてしまうのがゴルフの難しさ。
しかし、そのスライスしないはずのクラブを、もっとつかまりをよくするために、一般的な手法のヒール側に鉛を貼ってしまうと、それはもはや「 行きすぎた領域 」になっている可能性が大なのです。
人間の感性とは不思議なもので、「 行きすぎた領域 」になると、なぜか逆の反応が出やすくなるもの。
つかまりすぎるクラブを振ると、自分の潜在的な意識が勝手に反応して、つかまらないように打ってしまうものなのです。
つまりこのような場合では、一般的な手法とは逆に、つかまらない方向に鉛を貼ったほうが、スライスを抑えられるケースが多くなります。
このように多彩な特徴を持ったクラブに対して、画一的な鉛の貼り方が合うとは限らないのです。
② アマチュアゴルファーの打ち方も多彩
一言でアマチュアゴルファーと言っても、その技術レベル、身体的特徴は様々です。
たとえボールの性質が同じスライスであっても、その原因となるものは全く違っています。
それだけ多彩な特徴を持つアマチュアゴルファーが、各自それぞれに多彩なゴルフクラブを使っていて、たまたま同じ悩みを抱えていたとしても、その悩みに対する鉛の貼り方が同じはずはありません。
③ 鉛の貼り方がアバウトすぎる!
実はこの問題が、物事を難しくしている一番の原因だと思います。
ゴルフ業界全体のセッティングに対する考え方が、アバウトすぎるのです。
鉛を貼る量を1gや2gの単位でベタベタと貼っていますが、それではあまりにも大雑把すぎ。
ヘッド自体にチューニング機能が付いている物も、用意されているウェイトの変更量が大きすぎます。
たとえば5gのウェイトの代わりが7gとか3gでは、変化量が多すぎて本当の最適値を飛び越えている可能性が大なのです。
例えばドライバーのヘッド重量は200g前後ですが、設計の段階では重心位置などをミリ単位で、そしてゼロコンマの重量差にこだわって内部形状などを決めているにもかかわらず、なぜウェイト調整がいきなり2gとか3gもの大きな差をつけてしまうのでしょうか?
設計段階で細部までこだわっていたのに、最後の調整法が2g、3gという変化量ではあまりにも大雑把なのです。
④ アマチュアゴルファーの感覚を甘く見られている?
ゴルフ業界では、「 プロゴルファーは1gの違いでも、打てば分かるから凄い! 」と言われていて、それならばアマチュアゴルファーは2~3gくらい変えないと分からないだろう、というような考え方があるように感じます。
ところが、実際に多くのアマチュアゴルファーに鉛の調整をしてみると、0.5gの鉛の貼る位置を1cm変えただけで、全員がその違いを感じ取れました。
その0.5gの位置を1cm変えることで、ナイスショットとミスショットの差がハッキリと出るほどの違いです。
それを考えると、プロゴルファーがドライバーヘッドのソールに2gや3gをベタッと貼っているのを見ると、「 なんて鈍感なんだ!? 」と逆に心配になります。
この点を好意的に分析するなら、プロゴルファーはスイングが超安定しているので、まるでレールの上をスイングしているような感覚になり、多めに変化させないとその違いが分からない。
一方、アマチュアゴルファーはスイングが不安定なので、少しの変化でもスイングが揺らいでしまい、逆に敏感に反応する。
このような状況なのかもしれませんね。
いずれにしても、プロゴルファーが1g単位だから、アマチュアゴルファーは2g単位、というような考え方は大間違い。
アマチュアゴルファーこそ、もっと繊細に調整しないと、本当の美味しいセッティングは見つかりませんよ。
以上の理由から、「 一般的なお決まりの鉛の貼り方が、皆さんには合わない可能性が高い 」ということを納得してもらえましたか?
鉛の貼り方のコツ
それでは本題です。
ここからは鉛の貼り方のコツを説明します。
まず使用する鉛は、細かく重さを調整したいので、薄いテープ型を使用して下さい。
具体的なお勧め品は、ゴルフ5で販売している『 調整職人 』です。
いろいろ試してみましたが、この商品が一番使い勝手がよいと思います。
その貼り方のコツは、一般的なセオリーは無視し、貼る場所は自由に、重さは少な目にして、根気よく進めることです。
■ ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ
0.3~0.5gの鉛を先ずは適当にソールに貼ってみて、自分がどう感じるのかを試してみましょう。
その場所に貼ったほうがよいのか、悪いのかはすぐに分かるので、よかった場合はそこから1cmくらい場所を移動してみて、更によくなったか、それとも悪くなったかを確認。
この方法を繰り返します。
よい場所が決まったら、その場所にもう0.3~0.5g追加してみることも必要です。
慣れてくると、自分にはどの位置に貼ると打ちやすくなるのか、傾向が分かってきます。
目的をスライス防止とか、フック防止とかと限定するよりも、気持ち良くボールが打てる位置として考えたほうが、よい貼り方が見つかるでしょう。
もちろん数か所に分けて貼る方法も「 あり 」です。
■ アイアン
アイアンの場合は、0.3g以下で進めて下さい。
ほんの僅かな差で、アイアンが「 キレキレ 」に変化するかもしれませんよ。
注意点は、 同じアイアンセットでも、全ての番手が同じ貼り方 にはなりません。
たとえどんなに腕のよいゴルフ工房で組み上げてもらっても、一本毎に微調整が必要。
下の写真の鉛は0.1gにも満たない程度の量ですが、この程度の差でも使用する本人には大違い。
■ パター
パターは0.5g単位で進めましょう。
プロゴルファーの中には、マレット型のソール全面に5~10gもベッタリと貼っている人がいますが、それは非常に「 もったいない 」状態なのです。
たとえ0.5gでも、劇的に気持ちよくストローク出来る場所が見つかるかもしれません。
ヘッドの重さが必要な場合でも、慎重に作業を進めて下さい。
■ シャフト
シャフトの鉛の貼り方は、グリップの下側に巻く方法が一般的ですが、実は内緒の裏技があります。
シャフトの途中に鉛のテープを1周分貼ると、シャフトのキックポイントが変わり、もっと自分のフィーリングに合うシャフトに変えることが出来ます。
もう少し先調子にしたい場合はヘッド側とか、柔らかすぎる場合は2~3か所に貼って動きを抑えるとか、貼る場所と貼り方で確実に変化します。
この方法もあまり先入観を持たずに、自由に1cm刻みで貼る位置を変えて、その変化を感じてみましょう。
よい成果を出すコツは、鉛のテープを「 ピッタリ 」と貼らずに、少し「 シワ 」が出るくらい緩めに貼るほうが、シャフトの動きを損なわずにフィーリングだけを変えることが出来ます。
うまく決まれば、リシャフトする必要がなくなるかも…。
まとめ
ゴルフクラブを鉛の貼り方でチューニングする方法を説明してきました。
一般的な常識にとらわれずに、根気よく作業を進めると、劇的に自分のフィーリングに合うクラブに変身させることも可能です。
そのようにして出来上がったクラブは、現在の皆さんの感覚にピッタリとマッチしているので、たとえ練習やラウンドの間隔が開いたとしても、簡単にいつもと同じようなクラブのフィーリングを感じることが出来るでしょう。
多くの市販品の中から、完璧に自分に合うクラブを見つけ出すことは困難です。
鉛の調整で少しでも完璧に近づけるなら、スコアアップの大きな武器になりますね。
もちろん自分のクラブの中には、何も貼らないほうがよいクラブもあるでしょう。
そんな自分のクラブの特徴を知ることで、ゴルフライフがもっと楽しくなるものです。
本当のところ、いろんなタイプ別のアマチュアゴルファーに合わせた最適な鉛の貼り方のデータを持っているのですが、今回はあえてそれは説明せずに、固定観念に縛られない自由な感覚で、自分だけのクラブセッティングにチャレンジして欲しいと思います。
※追記
もう少し具体的な鉛の貼り方の例を【 ゴルフクラブを自分にピッタリに調整する方法 】で紹介しています。
ドライバーについては、【 ドライバーの鉛の貼り方に新方式!! 】で説明した方法がとても効果があるので、まずはそちらから先に試したほうがよいかもしれません。