2021/02/07
【 こちら 】で予告した通り、今回は渋野日向子選手のスイング動画を、シンプルゴルフ ラボ的な視点から解析し、アマチュアゴルファーが参考にすべき点と、参考にしなくてもよい点について説明します。
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自分にできることだけを取り入れる
【 こちら 】に引き続き、せっかく画質のよいスロー動画の素材があるので、もっと有効に活用させてもらいましょう。
渋野日向子選手のスイングについては、【 渋野日向子選手を参考にするならこのポイント! 】で説明しているように、見習いたい点は大枠としては2点です。
➀ インパクトまでは左に流れないスイング軸
② 安定したボールへの入射角
この2点が、渋野日向子選手の活躍を支えるスイングの肝であり、この点が崩れると渋野日向子選手といえども成績が悪化してしまうバロメーターになるはず。
この点を頭に入れながらスイングチェックをしてみましょう。
今回は正面からのスイングを中心に説明します。
自分が取り入れるべき点を見つけて、イメージを落とし込んで下さい。
渋野日向子選手のスイングから学びたいポイント
チェック 1 👉 ボールの位置
渋野日向子選手のボールの位置は、「 左足かかと内側の延長線上 」という、ゴルフレッスンの定番と言える位置ですが、残念ながらこの点はあまり参考にしないほうがよいと思います。
理想のインパクトはボールをアッパーにとらえることなので、ボールを真ん中よりも左にセットしたほうがよいと思われるでしょうが、もしスイング軸が左に流れずに打てるなら、ボールの位置は真ん中にセットしても、しっかりとアッパーにとらえることは可能です。
クラブを持つ時は右手が下側なので、自然に右肩下がりのアドレスになります。
あとはその場で回転するようにスイングすれば、勝手に最下点がボールよりも右側になり、そのまま自然にアッパー軌道でとらえることができます。
また、プロと同じくらい左にボールをセットしてしまうと、プロよりも肩甲骨周りや身体の柔軟性が低い一般的なアマチュアゴルファーは、正しい回転運動の中でクラブヘッドがボールに届かなくなってしまうのです。
だからと言って、ボールに届かせようとスイング軸を左に移動させてしまうと、今度はスイングが乱れてボールをうまくとらえることが難しくなります。
スイング軸は左に流れないほうが、確実にゴルフは簡単になるので、まずはボールを真ん中にセットして、スイング軸が左に流れないようなスイングを目指しましょう。
チェック 2 👉 体重移動
この動画の渋野日向子選手は、腰の位置がバックスイングで右に10cmくらい移動して、そこからインパクトまでのダウンスイングで左に20cmくらい移動しています。
つまりスタートのアドレス時よりも、インパクトでは腰の位置が10cm左に移動していることになります。
この左右の移動量は、昨シーズンの調子がよい時よりも2倍くらい多くなっていますが、その理由が、スタジオ撮影、シーズンオフ、スイング改造、というどの影響なのかは分かりませんが、腰の位置がアドレス時よりも大きく左に移動しているので、【 こちら 】で説明したように、入射角がアッパーではなく、レベルになっているわけです。
そして気をつけて欲しいのは、例えばこの渋野日向子選手のスイングを「 完コピ 」しようとすると、必ず「 完コピ 」したい本人よりもその動きが大きくなってしまうので、その分だけ難しいスイングになります。
したがって、この動画からイメージして欲しいことは、もっと左右の移動量を抑えるように意識することなのです。
チェック 3 👉 バックスイング
猿腕な点は気にせずに、バックスイングの右腕の動きに注目して下さい。
シャフトが垂直に立つ地点まで右腕が伸びたままになっていますね。
これはとても凄い動きで、柔軟な肩甲骨周りと身体の動きがないと不可能です。
この動きに対して、アマチュアゴルファーの場合は、多くの人がバックスイング直後から右肘が曲がり始めていて、その分だけスイング軌道が小さくなっています。
だからと言って、渋野日向子選手の位置まで右腕を伸ばし続けるのは不可能なので、せめてシャフトが水平になる地点までは右肘が曲がらないように頑張ってみましょう。
そのためには、【 左肩甲骨を回せばゴルフが楽になる! 】で説明したように、左肩甲骨をしっかりと動かす意識が必要ですよ。
チェック 4 👉 切り返し
ここが凄く重要なポイントです!
バックスイングからトップに向かう時もシャフトは少し撓っていますが、ダウンスイングへ切り返した直後もシャフトが撓っている点に注目しましょう。
このようにシャフトを撓らせるためには、切り返す瞬間からクラブヘッドを大きく回転させ始める意識が必要です。
このシャフトの動きは、松山英樹選手にも共通のもので、この動きを作ると、ダウンスイングでシャフトが水平になる頃からシャフトが「 順撓り 」➡「 逆撓り 」に変化して、そのままインパクトまで「 逆撓り 」の状態を続けることができます。
多くのレッスンの定番になっている「 タメを作る 」ことを意識していると、このようにはシャフトは撓らないので、非常に短い時間で「 逆撓り 」状態を作らなくてはいけなくなり、その分だけゴルフは難しくなります。
分厚いインパクトを作る「 逆撓り 」のシャフトの動きをスムーズに作るためには、まずは切り返しの瞬間から早く「 順撓り 」させることが重要で、ダウンスイングで「 タメ 」を意識してしまうと、「 順撓り 」➡「 逆撓り 」の動きを作ることが難しくなります。
チェック 5 👉 インパクト
インパクトはハンドファーストになっていて、最近世界の一部のプロに流行している形です。
しかしこの形を作るためには、かなりのフックグリップが必須になるので、フックグリップが合う人にしかお勧めしません。
それよりも注目なのは、インパクト時のグリップ位置です。
アドレス時よりも15cmくらいも上側を通過しています。
渋野日向子選手と言えばハンドダウンのアドレスが有名ですが、実はインパクトではグリップの位置はかなり上側を通過していたのです。
つまり、ダウンスイングの軌道と、アドレスのハンドダウンとの関連性は低いのです。
【 正しいスイングプレーンの考え方 】で説明したように、あくまでも正しいダウンスイングを作りやすくするために、渋野日向子選手はハンドダウンのアドレスになっているのではないでしょうか。
チェック 6 👉 フォロー
両腕がしっかりと伸びたまま回転していくフォロースイングは見事なものですが、アマチュアゴルファーはこの点にはあまり縛られる必要はありません。
もちろん両腕がしっかりと伸びたほうがよいのは間違いありませんが、あまり無理はせずに、自分の身体の状況と相談しながら、自然に振れるならOKとしましょう。
チェック 7 👉 フィニッシュ
いかにも「 振りちぎった感 」のあるフィニッシュは見事なものです。
しかしこのポイントも、自分のできる範囲内で十分です。
スイングのバランスを崩さない範囲の中で、大きなフィニッシュを目指しましょう。
それよりも重要な点は、「 必ず毎スイングで同じフィニッシュを作る 」ことです。
よく見られる悪い例は、インパクトで当たりが悪かったらスイングをやめてしまい、しっかりとフィニッシュを取らない人です。
こんなクセのある人はすぐ改めて、必ず毎回同じフィニッシュを作って下さい。
ゴルフとは不思議なもので、たとえインパクトの瞬間の当たりが悪くても、その直後のフェース面の動き方でかなり結果を取り戻すことができます。
ミスショットを「 結果オーライ 」にするためには、しっかりとベストなフィニッシュを作ること。
そして、自分にとってのベストなフィニッシュから逆算して、トップまでのスイング軌道を逆回しで考えることも重要な練習方法です。
今回のまとめ
今回説明した渋野日向子選手のスイング、残念ながら一番見習いたかった「 インパクトまでは左に流れないスイング軸 」は不十分でした。
しかしそれ以外にも、取り入れたいイメージは多くありました。
プロの動きを見て、全てを「 完コピ 」することは不可能です。
「 できないものはできない 」と割り切って、自分ができそうなことだけをうまく取り入れて、スイング作りを進めて下さい。