今回は、ドライバーのシャフトの長さについて考えてみましょう。
長尺ドライバーは飛ぶ、というゴルフ界の流れになっていますが、その陰で長尺化で苦労しているのはアマチュアゴルファーだけでなく、プロゴルファーも同じでした。
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PGAツアーでは短尺ドライバーブームの兆し
PGAツアー2017年の初戦となるSBSトーナメント・オブ・チャンピオンズでジミー・ウォーカー選手が42インチという超短尺ドライバーを使用して話題になりました。
フェアウェイキープ率の向上を狙って2インチも短くしたそうです。
それまで使用していた44インチでも短いほうなのに、そこから一気に2インチも短くするとは驚きです。
僕は以前から長尺ドライバーの性能には疑問を持っていて、短尺の可能性に期待していたので、非常に嬉しいニュースでした。
さらにその後のホンダ・クラシックでは、リッキー・ファウラー選手が43.5インチのドライバーで優勝!
従来よりも1インチ短くしたそうですが、飛距離は変わらずに精度がアップしたそうです。
もともとPGAツアーでは、ほとんどの選手のシャフトが44~45インチで、日本の選手よりも短い選手が多かった中での、さらなる短尺化。
この流れは大歓迎です。この流れが国内にも波及して、各メーカーが短尺ドライバーを市販してくれることを期待します。
長尺ドライバーで本当に飛距離が伸びているのか?
どんどん長くなってきた長尺ドライバー。皆さん、本当に飛んでいますか?
国内では、プロゴルファーもメーカーも「 長尺は飛ぶ! 」と言っていますが、過去の飛距離よりも明らかに伸びているように見えるのは片山晋吾選手くらいです。
その片山晋吾選手も、コースセッティングが難しいメジャー大会では、ドライバーを使わずに戦っています。
その他の選手はコメントほど飛距離が伸びているようには見えません。
雑誌などで読者に長尺を勧めておきながら、当の本人たちは長尺で調子を崩して、こっそりと元に戻している選手が多くなっています。
皆さんもおそらくご覧になっている「 ゴルフ侍、見参! 」でも、かなりの長尺を使っている侍が何人も登場しましたが、その人の腕前なら普通の長さのほうがもっと飛ぶはずなのに、と思う場面ばかりなのですが…。
そもそも「 シャフトが長いほうがヘッドスピードが上がり飛距離が伸びる 」という考え方は短絡的な思考だと思いませんか?
長尺ドライバーは長尺にするために重量が軽くなっていますが、それではヘッドスピードが上がっても運動エネルギーは上がりません。
同じ重量のままで、長さを長くしないと実際の効果は微小なのです。
また飛ばしの要素には、ヘッドスピードだけでなく、ミート率やスピン量、その他の要因が重なり合ってのものなので、長いほどミート率が減少傾向になることを考えれば、その効果には更に疑問が…。
そして忘れてはいけない点が、実際のコース上では風が吹いていることです。
ゴルフショップや練習場での試打で結果がよかったとしても、ラウンド時にその通りに振れるとは限りません。
実際のコース上では平均4~5m/sの風が吹いていますが、それはつまりヘッドスピードの10%にも相当します。
シャフトが長いほど、そしてヘッドが大きいほど、風の抵抗は増えるので、ヘッドスピードの10%もの風が吹いていればかなりの影響を受けてしまい、練習場とは同じフィーリングでは振れません。
それならば短いシャフトで、出来ればヘッドも小さいほうが、天候に左右されずに安定したゴルフが出来ると思うのですが…。
しかし残念なことに、現在の日本の市場には短尺シャフトと小ぶりなヘッドのドライバーは皆無の状態。
個人的にカスタムしたくても、シャフトを短くしただけではヘッドバランスが不足するので、ゴルフ工房などにお願いするしかありませんが、しっかりフィットするには手間もコストもかかりますね。
海外販売モデルには、エアロバーナーミニドライバーやバーサミニ1.5などの短尺で小ぶりなヘッドのモデルが存在しますが、自分に合うスペックを選ぶのは困難。
それならば、今回のジミー・ウォーカー選手やリッキー・ファウラー選手の流れが日本にも波及して、各メーカーから短尺ドライバーが販売されるなら、アマチュアゴルファーにとっては非常に心強い相棒を見つけ出すチャンスが生まれると思います。
今後の動向に注目しましょう。
追記 : 短尺ドライバーの販売が待てなかったので、自分で短尺ドライバーを製作して試してみました。
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